住宅ローン「せっかくだから夫婦で借りられるだけ借りちゃおう」では資金ショートもやむなし…借入計画で意識すべき「3つのポイント」とは【不動産のプロが解説】
資金計画を立てる際に意識すべき3つのポイント
そもそも、住宅を購入する際には、ある程度の頭金を用意するのが原則ですが、現実には頭金ゼロで家を買う人が増えています。 借入金額が少額ならフルローンでもいいですが、7,000万円の物件を買うために、世帯年収1000万円の共働き夫婦がペアローンを組み、7,000万円借入れるというのは、相当リスキーな行為です。 資金計画を立てる際は、次の3点を意識すべきです。 (1)借りられる金額の最大値=予算と考えない (2)将来的に、夫婦の片方が働けなくなるなど、収入が大幅に減るリスクも考慮する (3)現在、賃貸のマンションに住んでいるなら、住宅ローンの月々の返済額が今の家賃を大幅に上回らないようにする 元気で共働きをしているときは、ずっと2人で働いて返していけばいいと思うものですが、時とともに状況は変わり、出産、育児、病気、介護などで夫婦のどちらかが離職せざるを得なくなることも、十分にあり得ます。 もちろん、ペアローンの残債は残るので、収入が激減して高額の返済に追われる羽目に。そもそもペアローンを前提としなければ、身の丈に合わないほど高額の借入をする状況を回避できます。 物件を売りたい販売会社側が、ペアローンを提案してくることもあるかもしれません。 その際、「ペアローンだと住宅ローン控除をダブルで受けられて、節税効果が大きくなる」とか、「マイホームを売却すると、譲渡所得から最高3,000万円までを控除できるという特例があるが、ペアローンだと夫婦それぞれに控除が適用されるからお得」などの売り文句を聞かされることもあるでしょう。 それらは間違いではありませんが、節税効果が2倍になる分、住宅ローンを2本組むことで事務手数料や印紙代といった各種手数料も2倍になることを忘れてはいけません。 また、共有名義であるがゆえに、離婚したときにもめやすいという問題もあります。家を売って清算するだけなら話は簡単ですが、夫婦のどちらか一方が住み続けたい場合、ローンを一本化する手続きが難航しがちです。 一本化した後の名義人一人分の収入が足りず、再度住宅ローンの契約を結べない場合が多いからです。先々のことを考えるなら、ペアローンはデメリットもあると認識しておきましょう。 長嶋 修 さくら事務所 会長
長嶋 修,さくら事務所