「貯蓄に余裕があるから」と両親が年金の受け取りを70歳に繰下げするようです。もしものことを考えると、損をしないか心配です…
※筆者作成 結果を見ると、通常の受給総額よりも繰下げ受給の総額が上回るのは、82歳です。そのため、80代まで年金を受給すれば、損をせずに済むでしょう。 厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、日本の平均余命(寿命)は男性が81.09歳、女性が87.14歳、男女合計だと平均84.115歳です。平均寿命から考えると、70歳まで繰下げ受給をしても損をする可能性は低いと考えられます。
65歳から70歳までで必要な貯蓄はいくら?
総務省統計局が公表している「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上で夫婦のみの無職世帯における平均消費支出は平均で月に25万959円、税金や社会保険料などの非消費支出は月に3万1538円のため、毎月28万2497円が必要です。 仮に他に収入がなく、1年間上記の金額が不足すると338万9964円、65~70歳までの5年間で1694万9820円が不足します。不足分は貯金から補うため、急な出費の可能性も考慮すると、65歳の時点で1700万~1800万円ほどの貯金があれば、70歳まで繰り下げても問題なく生活できる可能性があるでしょう。
繰下げ受給で70歳から年金を受け取る場合、年金総額は80代ごろ通常よりも多くなる
繰下げ受給は、年金の受給タイミングを66歳以後にずらすことで、受け取れる金額を増やせる制度です。繰下げ請求書を年金事務所などに提出することで、利用できます。 今回の試算では、もし70歳まで繰下げ受給をすると、82歳には繰下げ受給をしなかったときよりも年金総額が多くなるため、長生きすればするほど得をすると考えられるでしょう。 繰下げ受給中の両親の生活費に不安を覚えるなら、1800万円ほどの貯金があるか確認しておきましょう。 出典 日本年金機構 年金の繰下げ受給 日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき 厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 1 主な年齢の平均余命(2ページ) 総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支-2023年-(18ページ) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部