アジア人最多のPGAツアー9勝目!松山英樹のアイアンショットをAIで分析
豊富な練習量で培われた左肘の角度の安定
もうひとつの特徴は左肘の屈曲角度(LEAD ELBOW FLEXTION)の安定です。アドレスは169度の左肘の角度はトップで167度、インパクトで156度と、アドレス~インパクトまで左肘の角度の変化が少なく、再現性が高いことがわかります。スポーツボックスAIが独自のシステムで統計を取った「トップでの左肘の角度」のアイアンショットでのPGAツアーレンジ(範囲)は、141.5度~150.5度で、松山選手は163度ですのでツアーレンジに対してかなり左腕の長さを保つタイプであることがわかります。 松山選手のように左肘の角度をキープする練習ドリルには、左手での片手打ちやクロスハンドの練習が有効です。左手の片手打ちはアドレスからインパクトまで左腕~クラブまでを同調させて体の回転で打たないといけないのですが、松山選手もこの左手の片手打ちを常に練習してスウィングをチェックしています。この練習は肘や手首を自由に使ってしまうと打てないので、やや難易度が高い練習ですがアイアンショットの再現性を高めるのに効果的な練習ドリルです。もし左手の片手打ちが試してなかなか打てなかった方は、最初はクロスハンドでショートスウィングの練習から始めると良いでしょう。クロスハンドは右手に比べて左手をクラブの短い位置で握りますので、自然と左肘が伸びます。その伸びた状態を保ったままショートスウィングを行うと、スウィングアーク(弧)の長さが保たれるので再現性が高まります。まずクロスハンドでトライして、徐々に慣れたら左手の片手打ちにチャレンジしてみて下さい。 今回は、松山 英樹選手のアイアンショットを分析させて頂きました。これまでアジア人のPGAツアーでの最多勝は韓国のチェ・キョンジュ(K・J・チョイ)選手でしたが、今回の勝利で松山選手がアジア人最多勝記録を塗り替えました。松山選手自身も「10勝目を目指して頑張ります!」と力強いコメントをしていましたが、次の勝利がまた一層楽しみになりましたね!
北野達郎