アジア人最多のPGAツアー9勝目!松山英樹のアイアンショットをAIで分析
コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」は、スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる。今回は、先週の「ジェネシス招待」で約2年ぶりの優勝を飾り、PGAツアーのアジア人最多勝利者になった松山英樹のスウィングを「スポーツボックスAI」の3Dデータをもとに、ゴルフコーチ・北野達郎に解説してもらった。
みんなのゴルフダイジェストをご覧の皆様、こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回はPGAツアーの「ジェネシス招待」で見事な逆転優勝を飾った松山英樹選手のアイアンショットをスポーツボックスAIで分析してみましょう。 松山選手の正確無比なアイアンショットのスウィングデータを分析すると、 ①胸の位置の安定(CHEST SWAY・胸の左右の移動量) ②左腕の長さのキープ(LEAD ELBOWFLEXTION・左腕の屈曲角度) この2点が非常に特徴的でした。それでは早速チェックしてみましょう。
ダウンブローに打つためのアイアンショットのアドレス
まずアドレスをご覧下さい。右手はスクエアですが左手グリップをややウィークに握っています。松山選手といえば精度の高いフェードが持ち味ですが、左手をややウィークに握ることで、切り返しからインパクトにかけてフェースローテーションを行ってもフェースが閉じ過ぎずに左から右にカーブするフェードが打ちやすくなります。またボール位置はスタンスのセンターにセットしていますが、ボール位置をセンターに置くとインパクトがダウンブローに入りやすくなります。また、アドレスでの左肘の屈曲角度は170度と真っ直ぐ伸びています。この左肘の角度に関しては後ほど詳しく解説します。
アドレスからインパクトまで胸の位置が安定している
松山選手の最初の特徴はトップとインパクトでの胸の動きです。トップとインパクトの胸のポジションを比較してみると、アドレスの位置を0としてトップが+0.7cm左、同じくインパクトが+0.1cm左と、スウィング中は胸がほとんど左右に動いていないことがわかります。このことから松山選手は左右に重心移動することなく、体をその場で回していることがわかります。センター・オブ・マス(Center Of Mass・略称は「COM」/体の質量の中心)という言葉があり、体の質量の中心(COM)が体の中心からブレないほどスウィングは安定しますが、左右にブレない松山選手の胸の動きにはCOMの安定が見られますね。 一方で骨盤の動きを見ると、アドレスを0としてトップは-1.1cm右、インパクトでは+11.4cm左と、トップからインパクトにかけてより左に移動しています。この骨盤が左に動くことでヘッドの入射角はダウンブローに入りやすくなります。この時に胸がアドレスのポジションより右に残るとスウィング軌道がインサイドアウトになるのでダウンブローに入れにくくなります。この「胸は中心、骨盤は左」のインパクトが松山選手のアイアンショットの秘訣のひとつです。