正義と信じ「敵」攻撃、投稿が過激化し分断生む…「エコーチェンバー」と確証バイアスで先鋭化
[SNSと選挙]<中>兵庫県知事選から
「辞めろ」「ウソつき」「出てこい」――。 【ひと目でわかる図解】SNSのエコーチェンバーのイメージ
兵庫県知事選の選挙期間中、奥谷謙一県議(39)の自宅兼事務所には、そんな電話が相次いでかかってきた。
奥谷氏は、斎藤元彦知事(47)のパワハラなどの疑惑を調査する県議会百条委員会の委員長。斎藤氏の失職後、SNSで斎藤氏への支持が広がるのに比例し、「知事の失脚を裏で主導した」として、奥谷氏を誹謗(ひぼう)中傷する投稿が拡散した。
知事選が始まると、立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が奥谷氏の自宅前で街頭演説し、「出てこい」などとチャイムを押す動画を配信。奥谷氏は母とともに避難していたが、立花氏がX(旧ツイッター)で奥谷氏の目撃情報の提供を呼びかけると、Xには「有馬温泉に隠れているようだ」などの書き込みもあった。
今も見知らぬ男が自宅前に立っていたり、チャイムを鳴らされたりすることもあり、警察に相談している。
奥谷氏は「自分についてSNSに書かれていることはデマばかり。こんなに身の危険を感じたことは初めてだ」と疲労感をにじませる。