大学に行くために「奨学金を借りる」くらいなら、高卒で働いたほうが「収入面」ではいいでしょうか?
大学に行くにあたって貸与型の奨学金を利用する方の中には、将来の返済を懸念して不安になってしまう方もいるでしょう。そういった方から「奨学金を借りてこのまま進学しても大丈夫か」という相談を受けることもあります。 そこで今回は、奨学金を利用して大学に進学しても大丈夫なのか、有利になる点や返済への懸念について考えてみました。
学歴別に見ると大学進学した方が有利である
「やりたい学問がある」「あこがれの学校に行きたい」など、大学に進学する理由は人それぞれです。その中でも特に多くの方が理由とするものの一つに、将来の職業に関することがあります。「より多くお金を稼げる職業に就きたい」「安定している職業に就きたい」といった目的のために大学進学する方は珍しくありません。 将来的な賃金という観点から見ると、大学進学をした方が明らかに有利となります。厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、学歴別に見た男女計の賃金は高校卒業で27万3800円、大学卒業では36万2800円です。賃金の差は月間で8万9000円、年間では106万8000円となります。仮に賃金の額が変わらず40年間働き続けるとしたら、単純計算でも4000万円以上の差になります。 統計上から想定される大まかな年収のみでの試算ではありますが、生涯年収だけで見れば大学進学した方が有利となる可能性が高いでしょう。
奨学金を踏まえて考えるとどうなる?
収入が上がっても、その分奨学金の返済があるのなら結局意味がないのでは? と思われるかもしれませんが、この点については違うといえます。 例えば、有利子の第二種奨学金を月額12万円、年利3%で4年間借りた場合、返済は毎月3万2297円を20年間かけて行います。このとき総返済額は775万1445円となります。 先に見たとおり、高卒と大卒の収入差は年間106万8000円のため、7年程度で奨学金返済分の差は埋めることができます。このように考えると、収入面で見れば、奨学金を借りてでも大学へ行く意味は大いにあるといえるでしょう。