【電通の勉強会で生まれた考え方】「会社のエレベーターの待ち時間が長い!」社員の不満をどう解決するか?「インサイト思考」から導き出される画期的なアイデア
一発で鮮やかに問題解決に至る「インサイト」
もうおわかりだと思いますが、猫と違ってチンパンジーは「試行錯誤」せずに「インサイト学習」によって一気に問題解決に至りました。その解決策は突然現れるように見えることもあるかもしませんが、「インサイト学習」は偶然の産物ではありません。 それは周囲の状況を注意深く観察(洞察)して、何かしらの「発見」をすることで、必然的に一発で問題解決に至るのです。そこに、反復の中で偶然の問題解決を期待する「試行錯誤」との大きな違いがあります。 データマーケティングにおけるABテストのような「試行錯誤」によって、成功の確率を少しずつ上げていく方法論も大切ですが、その反対のアプローチが、一発で鮮やかに問題解決に至る「インサイト」的な思考法をベースにした方法論だと覚えておくとよいかもしれません。 それに、一発で鮮やかに問題解決に至ったときの快感が何物にも代え難いところも、「インサイト」的思考法の大きな魅力です。 インサイトとは次のようなことと言えるでしょう。 ・「インサイト」とは……「人を動かす隠れたホンネ」であり、 ・「インサイトの価値」とは……表面的な情報をもとに試行錯誤して問題解決をするのではなく、裏側に隠れた情報を、あなた独自の視点で洞察し、一気に問題解決をすること。
「エレベーターの待ち時間」のインサイト的な思考法
ここで、「試行錯誤」的な思考と「インサイト」的な思考の事例を1つ見てみましょう。 よく使われている例ですが、あなたは「出勤時の会社のエレベーターの待ち時間が長く、社員から大きな不満の声が上がっている」という問題の解決策を考えるように言われたとします。 まず、誰もが思いつくのは、「エレベーターの数を増やす」「エレベーターの速度を上げる」「エレベーター同士が効率的に運行できるように最新のシステムを導入する」といったアイデアです。 しかし、これらは、比較的誰でも思い浮かぶアイデアでしょう。こんな風に、表面的に見えていることだけから「これをやろう」「あれをやろう」というのは「試行錯誤」的な思考で出てくるアイデアです。そして、みんなが思いつくのに、まだ着手していないこれらのアイデアは、予算や時間、人手が足りなくてできないということが多いのです。あえて「解決策を考えてくれ」と言われたのであれば、違うことを考えたほうがよいかもしれません。