池松壮亮、映画『本心』で田中裕子との共演振り返る「伝説のような方。痺れるような記憶が残っている」
平野啓一郎の長編小説を石井裕也監督が映画化した『本心』(11月8日公開)。その大阪先行上映会イベントが10月31日、大阪市内でおこなわれ、主演の池松壮亮が登場した。 【写真】「やっぱ大阪すげえな」という場面に出合ったと笑う池松壮亮 上映直後の観客の前に登場した池松は、「え~・・・ハッピーハロウィン・・・」と控えめに挨拶。この日の昼は「道頓堀今井」でうどん寄せ鍋を食べたそうで、「ドジャース戦があったので、なかなか取材に身が入らなくて・・・(笑)。ドジャースの優勝を観ながら食べました。とてもおいしかったです」と笑顔で明かしていた。 本作は「リアル」と「リアルではないもの」の境界が今よりもさらに曖昧になった世界を舞台に、亡くなった母の本心を知るため、AIで彼女を蘇らせることを選択する青年・朔也(池松)と、彼を取り巻く人間の「心」と「本質」に迫る革新的なヒューマンミステリー。 原作を読んだ池松が、全幅の信頼を寄せる石井監督に「今やるべき作品」と自ら企画を持ち込んだという渾身の意欲作。池松は「2020年の夏、映画製作はもちろん世のなか全体が止まってしまって、この暗闇はいつまで続くのかと思っているときに、この作品に出合って。アフターコロナで起こるようなことがほとんど描かれているような感覚で、強いインパクトがありました」と当時を振りかえった。 自由死を願った母の「本心」を探ろうと、朔也はAIで急逝した母を蘇らせ、対話を重ねていく。朔也の「母を作ってほしいんです」というセリフについて、池松は「その強烈な一言にすごく衝撃を受けて、こういう時代になってしまう前に何かすぐにでも形にして、少しでも同時代の人たちと対話できる映画になればと思いました。朔也を通して生きる実感を感じてもらえることが自分の役割」とコメントした。 生身/VF(ヴァーチャル・フィギュア)という2役に扮した朔也の母・秋子役の田中裕子については、「全シーン、本当に痺れるような記憶が残っています」と話し、「原作を読み終わったときに、母親だけ、田中裕子さんが頭に浮かんだんです。自分からすると伝説のような方で、まさか共演できるとは思わなかった」と明かした。 舞台挨拶では上映直後の観客からの質問に答える場面も。「もしリアルアバターを使うなら、自分の代わりに何を体験させますか?」という問いに、「代わりに映画の宣伝してもらいたいですね・・・。なかなか慣れないんです」と答えながらも、観客からのさまざまな質問に一つ一つ真摯に答えていた。映画『本心』は11月8日から「TOHOシネマズ梅田」ほか全国で公開される。