「愛される」ロボットって、どんなデザイン? 人の「なんとなく好き」を分析する【イマドキの大学ゼミ】
好きなものへの愛着は、いままでは「なんとなく」という感覚にすぎませんでした。この曖昧な感覚を多角的に分析し、魅力的なものづくりを研究しているのが、芝浦工業大学デザイン工学部の橋田規子教授のエモーショナルデザイン研究室です。「心を分析」して研究した作品が製品化されるチャンスもあり、学内でも高い人気を誇る研究室です。 【写真】昔のイメージとは大違い? 女子高生に人気の意外な大学
研究室データ
芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科 生産・プロダクトデザイン系 エモーショナルデザイン研究室 研究キーワード:感性工学、造形、プロダクトデザイン、ユニバーサルデザイン ゼミ生:16人(男7人:女9人) (2024年5月時点)
愛される「フードデリバリーロボ」
「ロボットを作るのは小さい頃からの夢でした。その夢がかなう大学を探すなかで、どうやらロボットが愛されるためには、デザインもかなり重要らしいということに気づきました」と、大学院修士課程1年の勝藤智哉さんは話します。橋田教授のエモーショナルデザイン研究室には、デザイン工学部4年次から所属し、「フードデリバリーロボットの外観デザイン」をテーマに研究に取り組んできました。 勝藤さんはまず、約30種に及ぶ既製品のロボットを集めて比較しました。 「すでに世にある製品がどんな機能を持っているかを見れば、社会で求められている要素が推測できます。フードデリバリーロボットでいえば、段差に対応できる足まわりの構造や、親しみやすい見た目などです。これらの製品を参考に、新たなデザインのヒントにしました」 フードデリバリーロボットは、食品を運ぶという特性上、デザインにも清潔感が求められるはず。そう考えて、勝藤さんは外装デザインのメインカラーに白を選びました。また、「愛されキャラ」になるよう、正面のモニターにはかわいらしい大きな目を表示させました。 おおよそのデザインの方向性は決まりましたが、ここからが橋田研究室の真骨頂です。目指すのは「ものがあふれるこの時代に、人々に長く愛される製品を作ること」。同じ機能を持つ製品でも、売れるものと売れないものがあるのはなぜなのか。人の心を動かし、惹きつけるデザインとはいったい何か。「愛される」秘密を解き明かすために、人による評価と分析、調査を繰り返すのです。