たった10年で世界18位まで成長の新興メーカー! 中国の「サイルンタイヤ」がじわり日本のトラック業界に進出していた
タイヤの生産は機械が行なっている
日本のタイヤ市場において、アジアンタイヤの販売比率は着実に増えている。いまやトヨタが新車装着するタイヤにも中国のタイヤブランドが選択されているし、安かろう悪かろうという製品ばかりではなくなっている。 【写真】まさに兵器!? トラック用の最新チェーンが想像の斜め上の凄さ! そんななか、トラック用アジアンタイヤとして着実に知名度を高めているのがサイルンタイヤだ。サイルンは2002年に中国青島(チンタオ)で設立された比較的新しいタイヤメーカー。そのため、生産工場の設備も新しく、ほとんどの部分で自動化が進んでいるのも特徴。青島科学技術大学とも協力関係にあり、タイヤ技術を共同開発するなど、独自のノウハウを構築するのにも積極的だ。タイヤ生産開始から10年で世界で18位のタイヤメーカーにまで成長したというから、その急成長ぶりは大したものだ。 タイヤ自体の生産はほぼ機械が行なっており、品質の安定性は高そうな印象を受ける。いわゆる職人の匠の技のような部分はなく、一度機械をセットすれば、あとはボタン操作で自動的にタイヤを作り上げてくれるのである。そのため、工場の稼働時間も長くできるだろうし、人件費(中国もいまや日本と変わらない)も抑えることができるので、たくさん作れば作るほど安く販売できることになる。日本にも上陸してすでに数年が経過しており、実際に試しているトラック事業者も増えている。 やはり最大の魅力は安さのようで、リトレッド(タイヤ表面を貼り替えて再使用する)しないのであればそのタイヤ1代だけの耐久性や信頼性で判断すればいいが、最近はリトレッドが普及していることもあり、単に摩耗限界1回の使用だけでは判断できない部分もありそうだ。見方を変えれば、ミシュランやブリヂストンなどの一流メーカーのタイヤは、耐久性や信頼性に優れているだけでなく、耐摩耗性やリトレッドなどまで考えてタイヤの構造や素材が仕立てられているのだ。 ちなみに航空機の世界ではリトレッドが常識。タイヤは地上にいるときしか使用しないので、摩耗限界に達したら構造部分などに劣化やダメージがないか検査して、平均5~6回はリトレッドされて使われ続けるそうだ。 大型トラック用のタイヤは大荷重に耐えられるだけでなく、耐久性や耐摩耗性も高いのが一般的。走行条件にもよるのだろうが1本のタイヤが15万kmから20万kmくらいで摩耗限界を迎えるようだ。トラック・バス用タイヤのほか、建設機械用のタイヤもあり、中国のタフな建設現場で使われて、鍛えられているらしい。高速道路をあまり走らない近距離輸送のトラックなどには、価格の安いサイルンタイヤも向いていそうだ。 乗用車用のタイヤもラインアップされており、コンフォート系からスポーツラジアルまで幅広く取り揃える。こちらも安さが一番のウリだろうが、ドリフトの練習用などに愛用しているユーザーも少なくないようだ。 どんなタイヤを選んだにせよ、車検や法定点検などでメカニックに見てもらうだけでなく、日常的に空気圧や摩耗、損傷などがないか、自分で点検してから走行することがやっぱり大事だ。
トラック魂編集部