国際舞台で嘲笑われ、欧州市場から締め出された「暗黒の4日間」…いま習近平の覇権外交が「絶体絶命」に陥っている
バイデン、台湾有事に「重大発言」
そして6月4日、習近平中国への2本目の矢が別の国から放たされた。その日、米国のバイデン大統領が5月28日にタイム誌から受けたインタビュー記事の内容が同誌によって公開された。その中で大統領は、中国が台湾に侵攻した場合の対応について「アメリカ軍の戦力の使用を排除しない」と述べて軍事的に関与する可能性に言及した。 今まで、バイデン大統領が記者会見などで米軍が台湾防備に動く可能性について聞かれて「Yeas」(議会での賛成の意思表示)という単語で答えた場面は数回あったが、今回は大統領自ら「戦力の使用は排除しない」との表現を使って、より明確に「米軍による台湾侵攻阻止」の可能性を示唆したことが大きい。 それまでの数回にわたるバイデン大統領「台湾防備発言」の直後に、米政権高官などは早速「政策に変更ない」と火消しに務めたが、今回、この原稿を書いている6月9日までには、米政権からのこうした「訂正発言」は一切見当たらない。バイデン政権はこれでは「確信犯的に」、軍事力を用いて中国の台湾侵攻を阻止する強い意思を示すことに至った。 5月20日の頼清徳・台湾総統の就任演説に対し、中国が大規模な恫喝軍事演習を行ったが、その直後に、米大統領が、より明確な形で米軍による台湾防備の意思を表明したことは台湾を大いに鼓舞するのと同時に、習近平政権への大打撃であるとは言うまでもない。 これに対し、中国外務省報道官は記者会見で、「台湾は中国の一部、台湾問題は中国の内政であって外部からの干渉は許せない」と定番の言説で応対したが、「武力で台湾を守るぞ」という米大統領の重大発言に対する反応としては弱々しい。習近平主席らは今、自失茫然でどう反撃するのか分からないような状態ではないのか。
中国EV、米国に続き欧州市場からも締め出し
同じ6月4日、中国が泣きそうになるような話が別方面からも伝わった。香港の有力メディア「南華早報」は、欧州委員会はすでに、中国のEV車に対し「臨時関税」を課することを決め、それを7月4日から施行すると報じた。欧州委員会は事前に、この決定を中国のEV車生産協会に通告済みであるという。 「臨時関税」の税率は未だに判明されていないが相当のものであると予想される。米国の「100%関税」に続いて、中国産EV車の最大の輸出先であるEUが高い関税を課すことになると、中国のEV車はほぼ完全に欧米市場から締め出されて絶体絶命の境地に立たされる。それはまた、習近平政権の「経済外交」の大敗北となろう。