3試合でわずか8分…ホーバスHCが富永啓生の起用法に言及「ローテーションがタイトになった」
バスケットボール日本代表のオリンピックが幕を閉じた。男子は開催国のフランスとオーバータイムにもつれる接戦を演じたが、結果だけ見れば3戦全敗。世界との距離が縮まっていることを感じる一方、あと数歩の距離が遠く感じるような内容だった。 ファンの中には、もっと富永啓生を見たかったという人も少なくないだろう。チームで最も爆発力があり、一気に流れを手繰り寄せる可能性を秘めたプレーヤーであることは周知のこと。しかし、蓋を開けてみればフランス戦を終えた段階でコートに立っていたのは1分未満であり、エース八村塁を欠いたブラジル戦もわずか6分59秒の出場に止まった。 日本代表を率いるトム・ホーバスHCは、『BasketNews』から富永の出場時間の少なさについて問われると、以下のように説明した。 「最初の2試合は、マッチアップが気に入りませんでした。フランスと(エバン・)フォーニエについてですが、彼らはピックアンドロールでフォーニエを起点にオフェンスを展開していました。だから、私はそこに富永を投入するのは難しいと考えていました」 「そして、(アンドレアス・)オブストはいつもタフで、屈強な選手です。我々はポイントガードをオブストに、ビッグマンをポイントガードにつけていました。日本の戦略的に彼(富永)には多くの時間を与えることができず、そこに塁が加わったため、ローテーションはよりタイトになったのです。 ホーバスのコメントから推測するに、AKATSUKI JAPANは世界の強豪と対峙する上でディフェンスに重きを置いていたように思える。身長188センチの富永は、河村勇輝や富樫勇樹と比較すると高さで極端なディスアドバンテージを背負うことはないものの、卓越したフィジカルや守備力を特徴とする選手ではなく、ネブラスカ大学で過ごしたラストイヤーもディフェンシブレーティングはロスターで4番目の低さだった。 また、河村とジョシュ・ホーキンソンのコンビによるピックアンドロールと、絶対的エースの八村が主たるオフェンスオプションであったことや、前哨戦から伝家の宝刀であるアウトサイドの確率が上がらなかったこともホーバスHCが富永を投入しなかった要因だっただろう。しかしながら、相手のスカウティングノートには富永の3ポイントに対して注意する記述が必ずあったはずで、前半のうちからプレータイムを与え、最初のショットをメイクすることができれば、警戒心を植え付けることもできたはずだ。 だが、富永はまだ若干23歳。今後は夢のNBA入りを目指すためにエグジビット10契約を結んだインディアナ・ペイサーズと合流する見込みで、トップクラスの選手やコーチ陣に揉まれながら、どんどん選手としてのクオリティを上げていくことだろう。 ホーバスHCは、パリで厳しい時間を過ごした和製カリーの背中を後押ししている。 「富永はただ頭を上げて、今後はどんどん良くなっていく一方だと思います」 悔しさはアメリカの地で晴らす。富永のキャリアはまだ始まったばかりだ。 文=Meiji
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