今じゃあり得ない扱いも…ドラマ『踊る大捜査線』に出演していた意外な芸能人は? 俳優の登竜門としてのシリーズの魅力を解説
実力を積み上げて再登場を果たした篠原涼子
まずは第2話にわずかな時間、ゲスト出演していたのが、当時24歳の篠原涼子。 佐々木典子という役名で、恋人にフラれた腹いせに髪の毛を切って、事情聴取を受ける役。歌手として『恋しさと せつなさと 心強さと』が1994年にダブルミリオンを記録しているにも関わらず、ほんの端役に。その後、着実に実力を積み上げて、2000年代のドラマ出演作はほぼ主演に。その後、佐々木典子は『踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル』(1998年)にも登場している。 第3話に出演していたのが、まだ14歳だった水川あさみ。ひったくりに遭遇して、膝を擦りむくという、女子高生役。役名もなかった。覚えているといえば怪我の手当てをする中西修係長に、下着が見えていたのでは...? とハラハラするシーンがあったこと(本作を見ると、よく分かる)。水川の現在の活躍は、こういった努力あってこそだ。 恩田すみれ(深津絵里)さんの主演回で、個人的に一番好きだった第5話。そこにゲスト出演していたのは、伊集院光。今や、雑学王としてメディアに引っ張りだこの彼だが、この時の役はすみれさんを執拗に追いかける、キモヲタのストーカー・野口達夫役。女性の敵である。こいつを青島がすみれさんの恐怖を取り除くべく、検挙に向かうのが回の見どころ。伊集院の隠れた演技力が発揮されている。
日本のコメディを背負う俳優も出演
今や、脚本界の重鎮となりつつある、宮藤官九郎。本人も含めて、彼に関わる面々がバイプレイヤー(まで行かないほど)として、『踊る大捜査線』を彩っていた。 第5話に役名もなく、現代でいうパパ活女子として湾岸署に連行されてきたのが、16歳だった小池栄子。役名こそなかったけれど、顔つきが今と全く変わっていないのが印象的。今年の夏ドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)の主演で、楽しい演技を見せてくれたが、その脚本家の宮藤官九郎もスペシャルドラマ『踊る大捜査線 秋の犯罪撲滅スペシャル』で、放火犯の柏田郁夫役として、チョイ役に。ここから20年足らずで2人が脚本家と主演女優としてタッグを組むとは、なんだかジャパニーズ版・アメリカン・ドリームのよう...。 第9話では27歳の阿部サダヲが、妹を殺された佐伯五郎役として出演。『不適切にもほどがある!』(TBS系)で見せたコミカルな雰囲気はゼロ。復讐心を静かに激らせる兄役に徹していた。 現在の阿部と、クドカン一門のように作品で共演を重ねているのが、古田新太。彼も31歳で『踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル』(1997年)に、銀行強盗犯・芦田満役として出演。ここにも大きな笑いはなかった。2人は当時、自分たちが将来、日本のコメディ作品を背負う役者になると予想していただろうか...。 以上が『踊る大捜査線』の連続ドラマシリーズに出演していた、トップ俳優たち5選だ。 【著者プロフィール:小林久乃】 出版社勤務後、独立。2019 年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報はこちら(https://hisano-kobayashi.themedia.jp/)
小林久乃