【木村カエラさん】の驚きの作詞法…「歌詞はまずネガティブなワードで作る」意外な理由も|美ST
自分の殻に閉じ籠るのは「損」だと気づいたら、視野がグンと広がりました
子供の頃からすごく人見知りだったんです。人のことを信じられなかったし、積極的に心を開くタイプではありませんでした。言い方を変えれば“尖ってた”とも思います。親が厳しかったこともあり、あまり思ったことを思いのまま言葉にできる環境でありませんでした。今思えば、そういった状況があったからこそ、私は作詞をするようになったのかもしれません。 歌手デビュー当初はまだしっかりと自分の殻に閉じ籠っていました。だけど色んな歌を歌っていくうえで、ありがたいことに「カエラちゃんの歌に救われました」と言ってくださる方々も増えてきて、「これは、自分の殻に閉じ籠っている場合じゃないぞ」と。それは本来の自分を出せていないということ。このまま殻に閉じ籠っていても、そこから見える世界はすごく限られた視野になると思ったんです。色んな方々に想いを歌にのせて届ける人間にとって、それはとてつもなく損なことだな、とも。 最初は勇気が必要でしたが、自分からちゃんと心を開くと、広がった間口から入ってくる情報量や世界は比べ物にならないほどになりました。興味の幅が広がり、入ってきたものの中から好き嫌いを選べるし、良いものと悪いものの見極めもできるようになったので、モノ作りをするうえで非常に重要なことだったと実感しました。いくつになっても好奇心を持って、目をキラキラさせていたいですね。
歌手としての覚悟が決まったのは、初めて武道館に立つ前日に
もうひとつ、尖っていた私の転機になった出来事があります。 2007年、『Scratch』というアルバムの発売に際して、初めて日本武道館でコンサートを開催しました。当時、本番前日にステージを見学させていただく機会があり、武道館にお邪魔したんです。そこで、準備中のステージでものすごくたくさんの方々が働いていらっしゃるのを目の当たりにして…。まだ若くて、大人は信じられないとか思っていましたが、その考えがガラリと変わりました。「そんなこと思ってる場合じゃない。責任もってステージに立たないと、バチがあたる」って。私の中で覚悟が決まった瞬間。そこからの気持ちが、今に続いています。 これから10月26日に控える武道館でのワンマンライブは、私にとって4度目の武道館。私が最初に覚悟を持てた場所で、新しい21年目を踏み出したいですね。 そして、9月25日にリリースされたEP『F(U)NTASY』に収録された5曲は、今だからこそ書ける日々の楽しみ方、揺らぐ心の持っていき方が詰まっています。様々な経験を経てきたうえで表現できる私の中のファンタジー、是非20年目の私の成長を感じていただけたら嬉しいです。