スカウトが注目する地方大学の逸材
全日本大学野球選手権が、明日8日から東京ドーム、神宮で開幕する。全国26のリーグを勝ち抜いてきたチームが集結するが、その中には、今秋のドラフト候補生が揃っていて、各球団のスカウトもネット裏に大挙して押しかけることになる。 某球団のスカウトは、「今大会にはドラフト上位選手が何人かいます。特に地方大学の選手に注目しています。中央の舞台でどれだけできるか? 全国レベルの対戦でどれだけできるかを、技術だけでなく、ハートやメンタル、性格面を含めてプロ向きかどうかの適正を見極めることのできる大会なんです。何年か前に則本も、この大会で自信をつけてプロからも注目を集めました。この大会は、ドラフト調査にとって大事な位置づけなんです。西武の岸や広島の菊池も地方大学出身ですからね」と、地方大学の逸材を追いかけていくことを強調した。 スカウトのリスト表にAマークがついていた選手は、多和田真三郎(富士大)、熊原健人(仙台大)、井口和朋(東農大北海道オホーツク)、岡田明丈(大商大)、桜井俊貴(立命)、内野手では、茂木栄五郎(早大)、山足達也(立命)と吉持亮汰(大商大)ら8人だったが、その中に地方大学の有力候補が3人含まれている。 多和田は、1メートル81の長身で、最速151キロを誇り、沈みこむような投球フォームの本格右腕。前述のスカウトは「多和田の魅力はボールの質です。球持ちがいい。あれだけ前でリリースできる選手はプロでもなかなかいません。ボールに角度がないという意見もあるのですが、制球力もありますし即戦力だと見ています」という。 沖縄の中部商出身、3年夏には決勝で糸満に敗れて甲子園出場はなかったが、2年時には、巨人に入った宮国と投げ合うなど、高校時代からプロに注目されていた。富士大では、1年秋に明治神宮大会の国際武道大戦でノーヒットノーランを記録。今春は、北東北大学リーグで、5試合、29イニングを投げて、4勝0敗、なんと防御率は、0.00だ。富士大は、岩手の花巻にあって、今回が3年連続10度目の出場。過去に西武のおかわり2世、山川穂高(23)らを輩出している。 東農大北海道オホーツクの井口は、北海道学生リーグで、今春、7試合すべてに救援登板。最速は147キロで、大学ジャパンメンバーに選出されている。武相高校では、甲子園出場はなかったが、大学では1年秋から抜擢され、昨秋のドラフトでヤクルトに2位指名された風張蓮と共にチームを牽引した。体格は1メートル77で73キロだが、体幹の強いパワー派。スライダー、スプリットで三振もとれる。奇しくも8日の1回戦では、富士大対東農大北海道オホーツクの顔合わせとなり、多和田と、井口のプロ注目の右腕2人が激突する好カードとなった。 また熊原は、極端に左足を開く独特の変則フォームから最速152キロをマークしている異色右腕。昨年11月の21U(21歳以下)W杯に日本代表として出場した。柴田高では無名の存在だったが、仙台大入学後、フォームを改造してから開花したという遅咲き投手だが、一部では、多和田と共に巨人の1位候補にリストアップされたとの報道もあった。