いすゞが「売上高2倍・利益率10%超」の強気計画で大攻勢!商用車再編のキープレイヤーに
● いすゞが中期経営計画を発表 30年度に売上高約2倍、営業利益率10%以上へ いすゞ自動車は4月、グローバル市場における「商用モビリティソリューションカンパニー」への変革を目指す2031年3月期までの中期経営計画を発表した。 昨年23年4月に就任した南真介社長COOがプレゼンを行い、31年3月期に売上高6兆円(24年3月期見通し3兆4000億円)、売上高営業利益率は10%以上(同8.2%)を目指すなど、売り上げ、収益性を大幅に引き上げる意欲的な成長戦略を明らかにした。 いすゞは24年1月1日付で、片山正則会長CEOが商用車メーカー代表としては初めてとなる日本自動車工業会(自工会)の会長に就任した。 これに先立って、いすゞは昨年社長交代を行い、片山会長と南社長の体制に移行していた。片山会長の任務が業界活動主体となることから、いすゞは南社長主導の下、物流業界で懸案となっている「2024年問題」(24年からトラックドライバーの残業規制が強化されることで輸送能力が低下する問題)や商用車の次世代技術への成長投資を積極化し、商用車再編のリードを強めていくことになる。
特に注目されるのが、今回の中期経営計画がよくある「3カ年計画」ではなく、電動車や自動運転車、コネクテッドカーといった次世代車の登場により、自動車産業として大きな節目となりそうな「30年度までの計画」としたことだ。 商用車(トラック・バス)は、乗用車とは異なる次世代車対応が求められる。一方で、「2024年問題」など需要家の運転手不足の解決も必要だ。国内対応とグローバル戦略が迫られる中、各社が生き残りに向けて対策を強化しており、その結果、商用車メーカー再編も動きが進むなど、とにかく複雑な動きを見せている。 その中にあって、今回の30年度に向けた中期経営計画は、長期の視点でいすゞが生き残るための、明確な方向性を示したものだといえるだろう。 では、中期経営計画の中身を少し見ていこう。 まず、いすゞは21年に買収したスウェーデンのボルボ・グループ傘下のUDトラックス(旧日産ディーゼル工業)との連携を生かして両社の効率性を向上するとともに、自動運転・コネクテッドサービス・カーボンニュートラルソリューションの3領域の新事業に挑戦することで売上高倍増を目指す。売上高営業利益率10%以上を打ち出したが、これは日産自動車やホンダの中期経営計画の営業利益率目標を大きく上回るものだ。