サポート終了まで1年切ったWindows 10──できていますか、移行やその準備
Windows 11移行の利点 セキュリティと互換性は
最後にWindows 11へ移行する利点を取り上げよう。まずはセキュリティ。前述したWindows 11のシステム要件と、OS環境に仮想環境を作成するVBS(仮想化ベースのセキュリティ)、そしてカーネルが侵害される可能性を想定し、OSの信頼ルートを分離するHVCI(メモリの整合性保護)によって、ゼロトラストセキュリティモデルを実現する。 VBSおよびHVCIはWindows 10でも使用可能だが、やはり厳しいハードウェア要件が付きまとう。条件を満たしたPCにWindows 11 ProをクリーンインストールするとHVCIが自動的に有効になるため、Windows 11展開時の工程も短縮できる。 もう一つは互換性の高さだ。OS移行時は社内の基幹システムや社内アプリケーションとの互換性が懸念材料となるもの、それまでWindows 10で動作している場合、大半が動作するだろう。強いていえば古い周辺機器のドライバーがはじかれる可能性は拭い切れないが、ドライバー署名を強化したWindows 8.xで動作すれば、おそらくWindows 11でも動作するはずだ。 ちなみにプリンタについては、Microsoftが2023年に実施したサードパーティー製プリンタドライバーのサービスプラン終了宣言に伴い、Windows Update経由の配布や利用可能なドライバーに制限が加わる予定だ。社内のプリンタがWindows 11に対応するのか確認した方がいいだろう。 UI周りは要注意? 一方で新機能やUI、それらの更新体制に関しては、私見が混じるが苦言を呈したい部分もある。 例えばWindows 11では、Androidアプリケーションを実行する「WSA」(Windows Subsystem for Android)が利用できる。しかし、この機能は2025年3月5日に廃止されてしまう。 複数のウィンドウを適切に配置する「スナップショットレイアウト」は便利だが、天気やニュースなどの表示枠「ウィジェットは、先日ようやくニューストピックを無効にできたところ。枠のレイアウトは編集できず、使い勝手はWindows 10と比べてよろしくない。 スタートメニューやタスクバーに至っては開発方針が定まっていないのか、月々の機能更新プログラムを適用すると、微妙な変化が加わる。従業員向けの社内マニュアルを作成しているIT部門は対応を求められるだろう。 いずれにせよ、Windows 10を使い続ける手段は限られている。単純にPCを買い換えるか、バイヤーやSIerに依頼して社内PCをWindows 11に移行させるか、Windows 365を契約して利便性を享受しながら、移行スケジュールの立て直しが必要だ。 MicrosoftによればWindows 11への移行は平均14カ月を要するとの調査結果もある。残された時間は少ないが、まだ準備ができていない担当者は早めのWindows 11導入計画を立てるべきだろう。
ITmedia NEWS