肥満より怖い子どもの「やせ願望」。児童精神科医が警鐘を鳴らす、“摂食障害”の恐ろしさ
どうしてもやせたいなら親子で一緒に体を動かして、よく食べること
子どもというのは大人と違って体をつくる時期ですから、大人よりもはるかに栄養を必要としています。食事はしっかり摂るべきです。そしてしっかり運動して、よく寝ることですね。寝ないことも肥満の原因になりますから。 ちょっとくらいぽっちゃりしていたとしても、楽しくご飯を食べて自分らしく暮らせていたらOKじゃないですか。食事を減らしてやせさせるくらいだったら、外で一緒に活動したり散歩したりしたほうがよっぽど健康的ですよね。「エネルギーを使うか/摂らないか」のどちらかしかない訳ですから、やせるためだったらちゃんと“使ったら”良いと思います。
肥満の気になる子どもが水分をたくさん欲するようになったら検査を
親が気にするべき肥満があるとしたら、糖尿病くらいでしょうか。 糖尿病って昔は「飲水病」って呼ばれていたんですね。血糖値が上がると排尿が増えて、喉が渇くんです。なので、急に水をガバガバ飲むようになったとか、家に引きこもってポテチを食べながらコーラばっかり飲んでいて、しかも最近太ってきたとか、そういう気になることがある場合は検査したほうがいいと思います。でも仮に糖尿病や予備軍だったとしても、まずは生活を見直すところからなんですね。朝起きて3食摂って、夜はしっかり寝る。そのうえで、「少し散歩をがんばろうか」のようなことを言ったりはします。
体型についての言葉を、大人が思っているよりも子どもは気にしている
「子どもをやせさせたい」という動機がもし「自分の娘・息子を美しくさせておきたい」という理由からだったとしたら、それは一種のトロフィーワイフ(※)的な考えで、親の自己愛ですよね。子どもにとっては決して喜ばしいことではありません。もし本気で子どもの美しさのためにやっているとしたら、親としての認識を改めたほうが良いです。 ※トロフィーワイフ…社会的・経済的に成功した男性が、ステータスシンボルのために結婚する若く美しい妻のこと。 子どものうちから「やせ」を意識することは、僕はデメリットしかないと思います。 子どもの体型のことを親や周りの人たちが言うと、子どもはすごく気にしますから。周りにからかってくる子や悪口を言ってくる子がいるとかであれば困りますけど、そうでなければ、子どもに体型の話をする必要はないと思います。