【三吉彩花さん】「作品を通して“家族”というコンプレックスに向き合いました」【映画『本心』インタビュー】|CLASSY.
「役を演じながら、自分自身と向き合うのは苦しかった」
――実際に三好彩花を演じてみていかがでしたか? 三好は、人に触れられないというコンプレックスを抱えながら、過去の自分の人生と向き合っているキャラクター。触れられないぶん、演技をするにも行動に制限が多かったので、どうやって彼女の想いや本心を表現するのか、という部分がとても難しかったですね。 そんな彼女の役と並行して私自身の本心を探求する作業でもあったので、ある種苦しさもありました。決してすごく楽しかった!といえるような時間ではなかったように思いますが、それでも無駄ではなかった。やっぱり、成し遂げられてよかった、という感覚が強いです。 とはいえ、撮影が終わっても作品を実際に見るまではどこか不安もあったのですが、試写会で完成品を見て、すごく素晴らしい作品になったなって少しだけ安心したというか。自分がやってきたことが無駄じゃなかったんだなとそこで思えました。
「乗り越えた先にはきっと意味がある。だから壁からは逃げたくない」
――三好がコンプレックスを抱えているように、ご自身にとって乗り越えるのに苦労したことはありますか。 そうですね。やっぱり幼少期の記憶や環境ってその人を形成する上では本当に大きい影響を与えていると思うので、そういう意味ではいちばん高い壁なんじゃないかな、というぐらい私にとって家族との向き合いというのは難しい問題でした。 もちろん家族だけじゃなく、ラクに超えられる壁って用意されていないんだな、というのはいつも感じています。常に大きい苦労から小さい苦労までいろいろとつきまとってきますけど、それを放棄して逃げることってとても簡単なことじゃないですか。でも、そこに当たって砕けろくらいの気持ちで向き合ってみることに意味があると思うんです。たとえそれがいい結果にならなかったとしても。 だから、常に何に意味があるのか考えながら試練を乗り越えていきたいと思っていますね。
映画『本心』公開情報
全国公開中 出演:池松壮亮 三吉彩花 水上恒司 仲野太賀 / 田中 泯 綾野 剛 / 妻夫木 聡 田中裕子 原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク) 監督・脚本:石井裕也 音楽:Inyoung Park 河野丈洋 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:RIKIプロジェクト ©2024 映画『本心』製作委員会 公式X・Instagram:@honshin_movie 撮影/木村敦(Ajoite) 取材/所優里 編集・文/平賀鈴菜(CLASSY.編集部)