EU、資本市場統合に前進-全加盟国財務相がロードマップに合意
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)加盟国財務相は、域内資本市場の統合に近づくことを目指す幅広いロードマップに合意した。域内市場間の障壁を取り除く取り組みは10年前に始まったが、停滞していた。
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のドナフー議長によると、EU共通の投資商品や共通規則、証券化の開発や創設に関連したコミットメントを含む「野心的な」声明を加盟27カ国全てが支持した。
ユーログループは11日、ブリュッセルで開いた会合でEU内の資本市場を統合して単一資本市場の実現を目指す構想について協議。この会合後の記者会見でドナフー氏は「極めて強力な政策の方向性を打ち出すことができた」と述べ、「全ての財務相が行動の緊急性に合意した」と説明した。
10年ほど前にこの構想が初めて浮上して以来、大きな進展はなかったが、気候変動対策やデジタル化への移行、防衛支出増額などで膨大な資金調達需要がEU諸国に生じる中で、資本市場統合問題が緊急性を増した。
米国に比べて未発達な市場がEUの戦略的な自主性を損ない、企業に域外での資金調達やEUからの完全撤退を促していると、複数の当局者は指摘する。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、トランプ前大統領が返り咲いた場合の経済的な混乱にEUが備える最善策は資本市場統合への前進だろうと述べ、緊急に行動する必要性を呼び掛けた。
先月にはフランスのルメール経済・財務相が、資本市場統合に向けた進展がないとして関連協議への不満を爆発させ、少数の国だけで自発的ベースの資本市場同盟を前進させる可能性を示唆。これには共同の監督や共通の貯蓄商品、証券化の保証などが含まれるだろうと述べていた。
全加盟国財務相の合意を望むとこれまで表明していたドナフー氏は、この日の声明はルメール氏が挙げた問題に対応していると指摘。
「監督業務に関連して、今回の声明には力強い文言が盛り込まれていると確信する。資本市場の監督方法で言えば、共通規則について明確なコミットメントがなされ、欧州委員会が各国の関係者と協力してさらなる選択肢を評価し得るプロセスも打ち出された」と続けた。