パルマに新天地を求めた鈴木彩艶のリアルな現地評。番記者は「控えにすることはあまり考えられない」
トゥルッポ氏も「正直、びっくり。想像すらしていなかった」
鈴木彩艶はパルマで活躍できるのか。次代の日本サッカー界を担う守護神のステップアップ。これまでも優れたGKを輩出してきたイタリアに精通する垣内一之氏に見解をうかがった。 【PHOTO】華やかで可憐なスタジアムの華!名手たちの妻、恋人、パートナーら“WAGs”を一挙紹介! ――◆――◆―― ステップアップとして最高の移籍先を選んだのではないか――。鈴木彩艶のパルマ入りを聞いて、まず強く感じたのが冒頭の印象だ。 中田英寿がプレーしていた時代(2001~04年)に、5年ほどパルマに住んだ経験がある。当然、当時とはオーナーも違えば、監督やスタッフ、選手も違う。チームを取り巻く環境は大きく変わったはずだ。ただ、これだけは言える。パルマの街や人々が持つ性格はおそらく今も不変。いや、絶対に変わっていない、と。 ということで、今回は『パルマトゥデー』紙で番記者を務めるグリエルモ・トゥルッポ氏の言葉も借りながら、セリエAで14人目の日本人選手としてパルマに移籍した彩艶への地元での反応や期待、なぜパルマが移籍先として最適かなど、2回に分けて掘り下げていきたい。第1回目は地元の反応と期待だ。 ベルギー1部シント=トロイデンに移籍した昨夏には、マンチェスター・ユナイテッドからの興味も報じられ、その後、正GKとして1年間、欧州で実績を積んだとはいえ、「ザイオン・スズキ」はイタリア国内ではまだ全く“無名”の存在だった。それだけにサポーターを始めとする周囲の驚きは大きかったようだ。 トゥルッポ氏も「正直、びっくりしたよ。日本人ゴールキーパーがセリエAに加入するなんて、想像すらしていなかったからね」と言う。 しかも移籍金は総額1000万ユーロ(約17億2000万円)と高額。そんな背景もあり、最初は懐疑的な見方も少なくなかったようだ。 ただ、そんな否定的な意見も、すぐにポジティブな声へと変わっていったという。 「今ではポジティブな声が多いよ。興味津々だよね、彼に。期待も大きいし、サポーターもびっくりしたけど、彼の獲得にはとても満足している。早く彼のプレーを見たいとみんな思っているよ。どんな能力を持っているのか、ってね」(トゥルッポ氏)。 トゥルッポ氏によれば、そもそもパルマは今夏、GKが補強ポイントだったという。セリエBで戦った2023-24シーズンは、アルゼンチン出身のレアンドロ・チチゾラが正守護神を務めた。足もとの技術に優れ、ビルドアップにも頻繁に参加するなど、4季ぶりにセリエA復帰に貢献した34歳。 だがトゥルッポ氏によれば、ファビオ・ペッキア監督はセリエAでも後ろからパスを繋ぐ自分たちのスタイルが貫き通せるとは思っていないようで、セリエA仕様のフィジカルに優れた国際レベルの守護神を探していたのだという。そこで白羽の矢が立ったのが、日本代表でも国際経験を積んでいる彩艶だったというわけだ。 ペッキア監督はご存じの通り、アビスパ福岡で指揮を執った経験があり、日本人、日本文化に理解がある。これは彩艶にとってプラスだ。しかも指揮官は獲得の際に、彩艶のプレーを映像で何度もチェックしたようで、そういった報道も相まって、彼への懐疑的な目が徐々にポジティブな意見へと変わっていった。多くのサポーターもベルギー時代の映像などでチェックして、今では大きな期待を口にしている。 では、彩艶はレギュラーを奪取できるのか。トゥルッポ氏は言う。「イタリアでは、ゴールキーパーの序列はシーズン中にそんなに簡単に変わらない。ペッキアのファーストチョイスがザイオンなら、チチゾラも問題なくそれを受け入れるはず。クラブがこれだけ多額の投資をしたわけだから、ザイオンを控えにすることはあまり考えられないけどね」。 もちろんプレシーズンでの結果にもよるが、順調なら8月17日のフィオレンティーナとの開幕戦は、背番号31を付けた彩艶がホームのエンニオ・タルディーニのピッチ立っている姿が見られそうだ。 取材・文●垣内一之(スポーツニッポン新聞社)
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