「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立てる荒川のホームレスたち
ホームレスは空き缶なしに生きていけない
30年以上前に、私は日本初の在日中国人向け中国語新聞「留学生新聞」の創刊に携わった。そのとき、東京の南千住と高田馬場の日雇い労働者を取材したことがある。 当時、ホームレスらしき人が道端に立って、請負業者に建設現場に連れて行かれるのを待っているところを見た。彼らは一日仕事をして、日払いの金を稼ぐのだ。 私は、ホームレスは皆このように生計を立てていると思っていた。しかし、ホームレスが年を取って、労働力を失った後、彼らは何を頼りに生きていくのだろうか。私は今になって、アルミ缶を集め、廃品買取所に持って行ってお金と交換することが、特に年配のホームレスたちにとっては生きるための道であるのだと分かった。 私の観察するところでは、荒川河畔に住むホームレスは、年齢を問わず、ほとんどの人がアルミ缶で生計を立てている。ホームレスが住む場所には、必ずと言っていいほどアルミ缶がある。アルミ缶がなければ、彼らは生きていくのが難しいだろう。 今では、桂さんも斉藤さんも専業の「アルミ缶職人」だ。桂さんは基本的に週2回、朝早く自転車で荒川付近のいくつかの住宅地に行き、アルミ缶を集める。3時間の作業で集めたアルミ缶の量は、少ない時は10キロ、多い時は20キロぐらいに達することがある。 これらのアルミ缶を持ち帰り、つぶしてからまた自転車で廃品買取所まで運ぶ。こうして、相場の上下はあるが、2000円から4000円までのお金をもらう。 斉藤さんは桂さんよりもこの仕事に力を入れている。週に少なくとも4回はアルミ缶を集めて廃品買取所に売りに行く。毎回5000円前後を儲け、1週間で約2万円を稼ぐことができるという。このお金で斉藤さんの生活費は基本的に賄えるはずだが、競馬の趣味があるため、いつもお金が足りないようだ。 桂さんはいつも、このように苦労して稼いだお金の大半を競馬に捧げる斉藤さんを叱るのだと言う。 それに対して斉藤さんは、「競馬は私の趣味で、直すのも難しいので、仕方がない。お金がなくなったらまた頑張って稼げばいい!」と弁解するのだ。