結果を残し増す信頼感　ドーム凱旋でも勝利を

巨人では入団4年目にプロ初勝利を含む8勝をマーク。先発、救援として通算110試合に登板し、13勝を挙げた

　5月下旬に開幕した近畿地区二次予選。「桜井で始まり桜井で終わった」と陣田監督が語るように、背番号21が躍動した。第1代表決定トーナメント準々決勝のニチダイ戦は6安打13奪三振1失点完投勝利。初戦で大阪ガスを破り、勢いに乗る相手を132球の熱投で退けた。次戦を落とし第2代表トーナメントへ回ると、準決勝の日本新薬戦で9回8安打4失点と再び完投。中2日で迎えた日本製鉄瀬戸内との第2代表決定戦では、4対0でリードした8回から三番手で登板し、2回無失点。最後の打者を空振り三振に抑え、桜井が立つマウンドに歓喜の輪ができた。 「1個負けるときつくなると感じて、第2代表トーナメントに回ったときに『これはちょっと負けられないな』って、自分にプレッシャーをかけるといいますか、第2代表で絶対に決めるという思いは揺るぎませんでした」 　プロ野球とはまた違う、緊張感の中で結果を残した。 　直球は150キロを計測。「ファウルも、空振りも取れる球になってきた」と手応えを感じている。追い込み期間を経て、都市対抗予選以来の実戦登板となった7月初旬のJR西日本とのオープン戦は5回1失点とゲームメーク。本大会に向けての調整も順調だ。陣田監督は、桜井が与えるチームへの影響についてこう語る。 「若い投手にはすごく良い見本になっているかなと。練習前の入り方や、投球後のケア、一つひとつの行動は見習うべきところがあります。また、野手から見ても信頼感が一番厚い投手なのではないでしょうか。『桜井さんが投げれば』っていうのも守っていてあるのでは。これも彼が結果を出して、得たものだと思います」

30歳、所属するミキハウスでは投手で三番目の年長者。若手の見本としても影響を与えている

　都市対抗の舞台は東京ドーム。巨人時代のホームグラウンドは、プロ初勝利を挙げた場所であり、何度も悔しさを味わった場所でもある。指揮官は続ける。「桜井が東京ドームに凱旋登板する。その姿を楽しみにしている方がいる。アドレナリンが出てどんなピッチングをしてくれるのか、私もイチ野球ファンとしてすごく楽しみではあります。そこで結果を出してほしい」。桜井自身は凱旋に「戻ってきた感覚になるとは思う」とした一方で、とにかくこだわりたいのはチームの白星である。 「いろんな方々に支えられながらチャンスをいただいている。勝つことが一番の恩返し。勝ちにフォーカスを合わせて、1イニングずつ丁寧に投げていこうと思います」 　東京ドームに再びその名が響き渡る。この夏は『ミキハウスの桜井俊貴』として、ただ勝利のために腕を振るつもりだ。 PROFILE さくらい・としき●1993年10月21日生まれ。兵庫県出身。181cm87kg。右投右打。投手。北須磨高-立命大-巨人16[1]～22、ミキハウス(入社1年目)。