米大統領選トランプ氏勝利直後に0・25%利下げ、FRBパウエル議長「短期的に政策決定に影響ない」
【ワシントン=田中宏幸】米連邦準備制度理事会(FRB)は7日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0・25%引き下げることを決めた。インフレ(物価上昇)の鈍化や雇用の減速傾向を考慮し、金融緩和を続ける。利下げは前回9月に続いて2会合連続となる。
決定は全会一致で、政策金利となるフェデラル・ファンド金利の誘導目標を年4・50~4・75%とした。保有資産の規模縮小(量的引き締め)は継続する。会合後に公表した声明文では、インフレ率についてFRBの物価上昇率の目標の2%に向かって「進展している」と明記。労働市場の状況については、就業者数の伸びが鈍化していることから、「おおむね緩和している」とした。
今回の会合は6~7日の日程で、5日に投開票が行われた米大統領選で共和党のトランプ前大統領の勝利が確定した直後の政策決定となった。
FRBのパウエル議長は会合後の記者会見で、「短期的に、選挙は政策決定に何ら影響を与えることはない」と説明した。その上で、今後の利下げに関して「我々に決められた道筋は存在しない。引き続き、会合ごとに判断していく」と述べた。
ただ、来年1月の大統領就任後、トランプ氏が打ち出すと見られる減税策や高関税策は、景気の過熱や輸入物価の上昇を通じて米国のインフレを再燃させるリスクが指摘されている。パウエル氏は「政権や議会の政策が経済的に作用し、長期的にFRBの目標達成に影響する可能性はある」とも述べた。
また、トランプ氏は「金融政策に大統領が発言権を持つべきだ」と主張している。パウエル氏はトランプ氏から辞任を求められた場合に従うかとの記者の質問に対して「ノー」と否定。議長の解任や降格についても「法的に認められていない」と説明した。
FRBは9月の会合で、雇用を下支えするために政策金利を通常の倍にあたる0・5%引き下げることを決定し、11、12月の会合で計0・5%の追加利下げを行うとの想定も示した。10月の米雇用統計で非農業部門の就業者数の伸びが前月から鈍化したこともあり、市場では、今回の会合での0・25%の利下げの決定が確実視されていた。