89歳 沖縄最高齢のジャズドラマー 本土復帰前のサウンドを今も響かせる原動力は「ジャズって楽しい」
https://www.youtube.com/watch?v=iefmrbhGtw4 沖縄が本土に復帰してから、5月15日で52年。RBCでは、復帰以前の米軍統治下の沖縄で盛んに演奏されたジャズを次の世代につなごうと活動する、89歳のジャズドラマーを取材したー 【写真を見る】89歳 沖縄最高齢のジャズドラマー 本土復帰前のサウンドを今も響かせる原動力は「ジャズって楽しい」 ■どこか懐かしいアレンジは「復帰前」の音 ジャズファンの期待にあふれたライブ会場で、飄々とステージにのぞむ男性がいる。県内最高齢の現役ジャズドラマー、金城吉雄さん。 温かみのあるどこか懐かしいサウンドは、沖縄が本土に復帰する前に、米軍基地のなかで演奏されていた楽曲だ。 ▽観客 「派手なパフォーマンスはないんですけど、非常に心にくる」 ▽ジャズドラマー 上原昌栄さん(88) 「もう素晴らしいですね、何十年か前の古いアレンジでね。楽譜はほとんど残ってないです」 吉雄さんがジャズと出会ったのは、終戦から7年後の1952年。那覇高校の吹奏楽部でトランペットを吹いていた時のことだった。 ▽金城吉雄さん(89) 「先輩たちが、米軍の要望でバンド作ったんだけど、プレイヤーがいない。僕なんかもピックアップされて。何もわからないところからですよ、本当に。ジャズという音楽をわからないし、譜面も読めない」 ■部活が終わったらカバンを持って ”仕事場” へー 当時は沖縄に急速に米軍基地が建設された時代。それにともない軍人のための娯楽施設も急増していた。そのため、施設で演奏するバンド奏者を求めて、吹奏楽部の部員にも声がかかったという。 ▽金城吉雄さん(89) 「部活が終わったらそのままの感じ、カバン持って仕事場行くんですよ。僕はトランペットを買えるわけないでしょ。だから吹奏楽部の学校の楽器を借りて、そのまま仕事に行って」 トランペット奏者として基地内で演奏を始めた吉雄さんはその後、ドラムに欠員が出たからと、誘われるがままにドラマーに転向。高校卒業後はバンドに所属し、県内各地の米軍基地を回ったり、軍の娯楽施設の専属ドラマーになったりしながら、演奏を続けてきた。 そして89歳の今も、那覇市内のジャズライブハウスで週2回、ドラムを叩いている。1時間半ほどのステージ。どんなリクエストでも吉雄さんが楽譜を見ることはない。ドラマー人生を歩んで70年、スタンダードなジャズのリズムは、体に染み込んでいる。