尾上松緑主演の新作歌舞伎「無筆の出世」神田松鯉が講談提供&出演
4月に東京・歌舞伎座で、尾上松緑が主演する「無筆の出世」が上演される。 「無筆の出世」は、講談師・神田松鯉の講談を元に、竹柴潤一が脚本、西森英行が演出を担う新作歌舞伎。原作となる講談は、松鯉が速記本から自ら起こしたもので、治助という奉公人が、酒癖の悪い主人から受けた“仇を恩で返す”物語が展開する。これまで歌舞伎座では、講談を元にした新作歌舞伎「荒川十太夫」「俵星玄蕃」が上演され、いずれも松緑が主演を担い、竹柴が脚本、西森が演出を手がけた。今回は松鯉が講談の提供だけではなく、出演もする。 【画像】神田松鯉(他2件) 上演に向け、松緑は「私が講談の作品を歌舞伎に移植させて頂くのは『荒川十太夫』、『俵星玄蕃』に続いて三作目で御座居ます また、三作目にして初めて“忠臣蔵”物から離れてのチャレンジです これまで講談からの移植では古典歌舞伎から転用しても違和感の無い色々な挑戦をして参りましたが、今回もその気持ちを忘れずに“擬古典”として違和感の無い作品に仕上げつつ、これまでに無かった演出等も作者、演出家、共演者、スタッフの皆とアイディアを出し合っている所です 『無筆の出世』は講談として既に名作で御座居ます その世界観を壊す事無く、また歌舞伎座の舞台で上演しておかしくない作品に作って行きたいと決意しております」と意気込みを述べている。 松鯉は「四十数年前に古い速記本から起した愛着のある作品である。加えて今回は小生自身も講釈師として舞台に上げていただく事となり、取り上げて下さった主演の尾上松緑丈を始め皆様の期待とご厚意に背かぬよう懸命に勤めさせていただきますので何卒宜しくお願い申し上げます」、西森は「尾上松緑丈と神田松鯉先生が、『共演』する。『荒川十太夫』から始まった講談と歌舞伎との交わりは、三作目にして、新たに挑戦的な作品づくりへと歩みを進めます。『無筆の出世』。誰しも心の在りどころが混迷するこの時代だからこそお届けしたい、講談から生まれた心に沁みる一作。歌舞伎と講談。長く深い時を重ねてきた古典芸能が、舞台上で邂逅する。その歴史的な瞬間を、多くのお客様にご覧頂きたいと思っております」とそれぞれコメントした。 公演の詳細は、続報を待とう。 ■ 尾上松緑コメント 皆様、御機嫌宜しゅう御座居ます 尾上松緑で御座居ます この度、歌舞伎座四月大歌舞伎に於きまして「無筆の出世」を新たに歌舞伎として上演致す運びとなりました 私が講談の作品を歌舞伎に移植させて頂くのは「荒川十太夫」、「俵星玄蕃」に続いて三作目で御座居ます また、三作目にして初めて“忠臣蔵”物から離れてのチャレンジです これまで講談からの移植では古典歌舞伎から転用しても違和感の無い色々な挑戦をして参りましたが、今回もその気持ちを忘れずに“擬古典”として違和感の無い作品に仕上げつつ、これまでに無かった演出等も作者、演出家、共演者、スタッフの皆とアイディアを出し合っている所です 「無筆の出世」は講談として既に名作で御座居ます その世界観を壊す事無く、また歌舞伎座の舞台で上演しておかしくない作品に作って行きたいと決意しております 是非、応援を宜しくお願い致します また、今回も惜しみなく協力して下さっている神田松鯉先生、神田伯山先生にもこの場を借りて篤く御礼を申し上げます どうか皆様、四月の歌舞伎座を楽しみにお待ち下さいませ ■ 神田松鯉コメント 小生の講談「無筆の出世」が此の度歌舞伎化される事になった。思えば令和四年の「荒川十太夫」に続いて二度目の快挙であり、これ程嬉しい事はない。四十数年前に古い速記本から起した愛着のある作品である。加えて今回は小生自身も講釈師として舞台に上げていただく事となり、取り上げて下さった主演の尾上松緑丈を始め皆様の期待とご厚意に背かぬよう懸命に勤めさせていただきますので何卒宜しくお願い申し上げます。 ■ 西森英行コメント 尾上松緑丈と神田松鯉先生が、「共演」する。 「荒川十太夫」から始まった講談と歌舞伎との交わりは、三作目にして、新たに挑戦的な作品づくりへと歩みを進めます。 「無筆の出世」。誰しも心の在りどころが混迷するこの時代だからこそお届けしたい、講談から生まれた心に沁みる一作。 歌舞伎と講談。長く深い時を重ねてきた古典芸能が、舞台上で邂逅する。その歴史的な瞬間を、多くのお客様にご覧頂きたいと思っております。 歌舞伎座の舞台で、尾上松緑丈をはじめとする歌舞伎俳優の皆さんと、神田松鯉先生の声が寄り添い、豊かな音が旋律として満ちる。その奇跡のような時を、大切に、紡ぎ上げていきたいと思っています。 ■ 「無筆の出世」 2025年4月 東京都 歌舞伎座 神田松鯉 口演より 脚本:竹柴潤一 演出:西森英行 出演:尾上松緑、神田松鯉