増額6億円超の広島カープバブル契約更改のなぜ
25年ぶりにセ・リーグを制した広島の契約更改でバブルの再来を思わせるような大判振る舞いの大幅アップが続いている。今日19日に行われる菊池涼介がオオトリ更改となるが、ここまでの推定のアップ額は、合計5億9825万円。今季8500万円だった菊池の年俸も、6000万円以上のアップは確実と見られていて、仮に6000万円とすれば、合計6億5825万円のアップ額となり、ここから逆にダウンした選手分を差し引きすると、広島の金庫から出ていくお金の増額分は5億4835万円ということになる。 当然、選手の契約更改後のコメントも満足感のあるものばかり。 「いい評価をしていただきました」が、常套句のようになっていて、流行語大賞を獲得した“神ってる”鈴木誠也は、2000万円からの3倍増に「ここまで上がるとは思っていませんでした」。ここまでの最高アップ額5500万円で、外国人を除くと、この時点でのチーム最高年俸、1億4000万円となった丸佳浩が「1億円がひとつの目標だったからうれしい」と言えば、年俸2000万円からスタートして3年ぶりに1億円超えにV字回復した新井貴浩も、「たくさん上げてもらいました」と、ニコニコしながら新聞社の写真撮影に応じた。5000万円ダウンにサインした梵英心のような例外もいるが、“勝てばいい思いができる”のプロ野球の原則を地でいくようなカープのオフの契約更改である。 だが、なぜ大判振る舞いが可能になったのか。 広島と言えば親会社を持たない市民球団として、堅実な独立採算の経営方針を貫く、シブチン球団として有名だった。身の丈にあった健全な経営で41年間、黒字経営を続けているが、年俸は他球団に比べると安く、FAで出ていく選手は引き留めることができず、過去に川口和久、江藤智、金本知憲、新井、黒田博樹(海外FAでドジャースへ)、最近では巨人に大竹寛を奪われるなど他球団の草刈場になっていた。今季まで、1億円プレーヤーも外国人選手を除くと、黒田とベテラン捕手の石原慶幸2人しかいなかった。だが、今オフは、優勝を契機に一気に、丸、野村祐輔、新井、そして菊池と5人も増えることになったのである。 何も経営方針を大幅に変えたわけではない。2009年にメジャーのボールパークを参考に様々な工夫をほどこしたマツダスタジアムを新設したことを契機に、観客動員が劇的にアップ。人が集まれば、収入が増えてビジネスに広がりが出てくるのも当然で、関連グッズやスポンサー収入も右肩上がりに増えて、しかも、球場の運営、営業権を持っているため、一時期、新球場ブームの反動もあったが、ここ数年は、カープ女子の流行もあって順調に増収、増益が続いている。 その良化した経営基盤をバックに2015年には、広島では異例とも言える年俸5億円で黒田を凱旋帰国させたが、その黒田効果でチケットがプラチナ化するほど盛り上がった2015年は、観客動員は初の200万人超えを果たして211万266人。今年3月の株主総会で発表された決算によると、2015年の売り上げ高は、前年と比べ19億5800万円増の148億3256万円、当期利益も1億8700万円増の7億6133万円だった。