「原作のその先を見せてもらえる映像化に涙。私ほど幸せな原作者はいない」…ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』原作者・爪切男の撮影現場レポート
原作者が原作にない部分で勇気をもらえる幸せな映像化
最近、親戚に聞いた話なんですが、「ひどいことをいっぱいしたのに、どうしてうちの息子は俺のことを恨んでいないんだ」と酒の席で親父がよく言っているそうだ。 傍から見れば、世間の常識からすれば、私と親父の関係はちょっと歪んだ親子関係だったと思う。子供の頃の私には親父しか頼る人がいなかったし、親父にも私しか威張れる存在がいなかった。それを分かっていたから、私たちは親子を続けた。どんなに厳しいしつけを受けても親父のことを嫌いにはなれなかった。だから、ちゃんと恨んであげることができぬまま私は大人になってしまった。 ドラマにおける現代編パートは原作にはない完全オリジナルである。であるからして第8話で描かれた私と親父の物語は実際にあった話ではない。なのに、私は心が震えるほど感動し、嗚咽するほどに涙した。長年ずっと心の中に引っかかっていた呪いが解けたような気分だ。原作者が原作にない部分でここまで勇気をもらえるなんてどれだけ幸せな映像化なんだ。 この素晴らしい第8話を見た今なら素直に言える。親父、私はあんたのことが本当に大っ嫌いで本当に大っ好きでした。 ※「よみタイ」2024年8月30日配信記事 構成/「よみタイ」編集部
集英社オンライン
【関連記事】
- Netflix『地面師たち』原作者が“フィッシング詐欺”で大金を騙し取られていた! 「67万円取られた。ふざけんじゃねぇよ!」
- 16年ぶりに復活の『内村プロデュース』はなにがスゴかったのか? 有吉弘行、さまぁ~ず、有田哲平らが必死に汗をかいていた……だけじゃない!
- 「2時間ドラマ枠」はどのように誕生したのか? きっかけは “毎回ヌードあり”サスペンスの視聴率がスピルバーグ映画くらいあったから!? それがのちの「相棒」に…
- 刑事ドラマを変えた『踊る大捜査線』のもとになったのは『仁義なき戦い』のヤクザ的世界観!?「相手を出し抜いて組織を守り抜くのはヤクザも警察も同じ」
- 6年ぶり再タッグのドラマ主題歌で話題の小田和正、オフコースの原点は学園祭のホールステージだった!?