元首相の釈放求めるデモ隊と警官が衝突、パキスタン首都封鎖
(CNN) パキスタンの首都イスラマバードで26日、カーン元首相の支持者数千人がバリケードを破って行進して治安部隊と衝突した。支持者はカーン元首相の釈放を要求している。 【画像】警察がデモ隊を追い払うため催涙ガスを使用する様子 カーン元首相が支持者に対して国会へのデモ行進を呼び掛けたことを受けて、当局はデモ隊の進入に備えて街を封鎖した。主要な道路をバリケードでふさいだほか、インターネットも遮断した。 イスラマバードではベラルーシのルカシェンコ大統領の公式訪問を受けて警備態勢を強化していた。ルカシェンコ大統領は25日に到着し、パキスタンのシャリフ首相と3日間にわたって会談を行う。 デモ参加者を乗せた車列は24日、ペシャワールを出発。約180キロ離れたイスラマバードを目指した。こうした車列はカーン元首相の妻ブシュラ・ビビ氏らが率いた。 デモ隊は25日、2日間にわたる封鎖と集会禁止の指示を無視して、イスラマバード郊外に到達した。警察は途中、デモ隊を解散させるため催涙ガスを使用したほか、道路を輸送用のコンテナで封鎖して、デモ隊の通過を阻止した。 動画には、火を付けられた警察の施設や幹線道路での複数の火災が映っていた。ロイター通信によれば、イスラマバード郊外やパンジャブ州で22台の警察車両が放火された。当局によれば、衝突によって少なくとも警官1人が死亡したほか、警官とデモ隊に複数の負傷者が出た。 デモ隊は26日午前までに封鎖を突破し、市内の内側にあるインターチェンジに集合している。議会や最高裁判所など主要な政府庁舎の外では兵士の姿が目撃された。 パキスタン内相は、治安部隊が銃弾によって負傷したが、警察はデモ隊に対して「自制を示している」と述べた。内相は、デモ参加者が一線を越えた場合、治安部隊には反撃する権限が与えられていると警告。外出禁止令の発動や軍の派遣など追加措置を講じる可能性もあるという。 カーン元首相の政党「正義運動(PTI)」は、「平和的な」デモ隊に対する発砲があったとして、政府側が過剰な武力を行使したと非難した。PTIによれば、デモ参加者約20人が負傷した。 CNNはいずれの側の報道についても独自に確認ができていない。 デモ隊はカーン元首相の釈放などを要求している。 カーン元首相の支持者にとっては今年2月に実施された総選挙は自由でも公正でもなく、「盗まれた」としている。 カーン元首相は2022年、不信任決議案の可決により首相の座を追われた。カーン元首相は1年以上にわたって服役しており、汚職や国家機密の漏洩(ろうえい)などさまざまな容疑がかけられている。カーン元首相やPTIはそうした容疑の全てを否認している。