『光る君へ』双寿丸を自宅に招く賢子に視聴者最注目 第40話画面注視データを分析
■「行成の立場が苦しすぎる」 ここは、一条期の四納言たちの道長への友情・忠誠と葛藤に、視聴者が注目したと考えられる。 若いころから道長と一緒にいた公任と斉信、道長の義理の兄にあたる俊賢。3人は敦成親王の擁立に動き出したが、行成は尊敬する道長(それ以外の感情もあるようだが)と、主である一条天皇の間で揺れ動いていた。 SNSには「行成は道長と一条天皇2人に惚れているから、どちらを推すにしても苦渋の決断だったろうね」「行成くん、敦康親王を東宮にできないって言うのつらかっただろうなぁ」「行成の立場が苦しすぎる」「唯一敦成親王の擁立に反対していた行成が、帝の説得に1番適役だったのは皮肉だな」と、行成の境遇に同情するコメントが多くアップされている。 また、悩む行成に対する気遣いと、「いけない、いけない」と茶目っ気たっぷりの公任さまには、「公任さまの行成くんへのぽんぽんが素敵」「公任さま、お優しい」「うっかり公任さま」と注目が集まっており、見事、注目度トップ3入りを果たした。 藤原行成は995年、参議に昇進した俊賢の後任として蔵人頭に任じられた。当時はまだ従四位下であり、この抜てきには多くの人が驚いたようだ。俊賢の推挙が大きかったようだが、それまでの行成の真面目な仕事ぶりが一条天皇にも評価されたようだ。1001年には参議任官を前提とした蔵人頭の辞退を一条天皇に申し出ている。しかし、有能な側近を手放したくなかった一条天皇に、辞退を認められなかったという逸話もある。それほど信頼していた行成の進言だからこそ、最終的に一条天皇も敦成親王を東宮とすることを承諾したのだろう。
不満が今にも爆発しそうな藤原妍子
今回は、1011(寛弘8)年の様子が描かれた。左大臣・藤原道長と四納言が次の東宮に敦成親王をすえ、敦康親王をとおざける政治姿勢を示した道長に、娘の中宮・藤原彰子は激怒した。そして一条天皇が崩御し、次に即位した三条天皇は道長の思惑通りにはならないと意気込みを見せた。今回の視聴データからは、1位こそ賢子が絡むラストシーンだったが、全体的にどの時間帯も注目度が高く、内裏のせめぎ合いに関心を寄せる視聴者が多かったことが分かる。 トップ3以外の見どころとしては、冒頭の『源氏物語』の読み合わせのシーンで、「罪のない恋なぞ、つまりませんわ」と、相変わらずあでやかでアバンギャルドな和泉式部(泉里香)と、意外にも(?)同調した赤染衛門(凰稀かなめ)や、いろいろな不満が今にも爆発しそうな道長と源倫子(黒木華)の次女・藤原妍子(倉沢杏菜)が挙げられる。妍子は道長の娘の中でも一番の美貌を誇ったと伝わっており、倉沢はわがままな名門のお嬢様ぶりをリアルに体現している。また、意気消沈する中関白家で、ただ一人気を吐くききょう(ファーストサマーウイカ)も印象に残った。