『ドラッグ オン ドラグーン』が発売された日。ヨコオタロウ氏の名を世に知らしめた傑作。ピーターこと池畑慎之介氏の芝居もすばらしい【今日は何の日?】
※本記事は、2023年9月11日にアップした記事を再編集したものです。 濃厚なシナリオが話題に 【記事の画像(7枚)を見る】 いまから21年前の2003年(平成15年)9月11日は、プレイステーション2(PS2)用ソフト『ドラッグ オン ドラグーン』が発売された日。 『ドラッグ オン ドラグーン』は一騎当千の爽快アクションが楽しめる地上戦と、ドラゴンに乗りながら戦う3Dシューティングによる空中戦の両方が楽しめるアクションRPG。ディレクターを務めたのはヨコオタロウ氏で、いまでは『NieR』シリーズで世界的に有名になった氏の出世作になります。 この『ドラッグ オン ドラグーン』は剣と魔法、ドラゴンや精霊が存在する王道ファンタジー世界が舞台であるものの、主流の作品とは異なる陰鬱なシナリオが特徴。過激なシーンも多いため、CEROレーティングの表記が追加されたアルティメットヒッツシリーズでは17歳以上対象になりました。 筆者は、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』で知られるスクウェア・エニックスの作品ということで、「尖った作品であろうと、ある程度は万人に受ける作りになっているんだろうな」と考えていたのですが、実際にプレイしたところ、想像以上に特定の層のユーザーを狙い撃ちするような作りかたをしていることに驚きました。 本作でヨコオタロウ氏の名前を覚えて、作者買いをするようになった人は多いでしょう。筆者もそんなひとり。ヨコオ氏の作品はプレイしていて悲しくなる展開も多いのですが、根底には愛が描かれているため、自分の中の大事な作品のひとつになります。 ストーリーは帝国軍によって母国を滅ぼされたカイムが連合国軍の傭兵になって戦いの日々を送る中、致命傷となる深手を負い、生き延びるために瀕死のレッドドラゴンの“契約者”となる道を選ぶという展開。 カイムとレッドドラゴンの声を務めるのはピーターこと池畑慎之介さんで、カイムを池畑慎之介として、レッドドラゴンをピーターとして2役を担当しています。声優でなく俳優を主役に起用するのはなかなか勇気のあることだと思いますが、池畑慎之介さんの芝居はすばらしく、見事に世界観に溶け込んでいました。むしろ池畑慎之介さんなくして『ドラッグ オン ドラグーン』の魅力は完成しないでしょう。 また、実兄であるカイムに禁じられた想いを寄せる妹にして本作のヒロインでもあるフリアエを初音映莉子さん、カイムに対して強い劣等感を持つ幼なじみのイウヴァルトを唐沢寿明さんが演じており、おふたりとも個性的でよかったです。とくに唐沢寿明さんの怪演はすごかったです。 ほかにも山寺宏一さんや、林原めぐみさん、宮村優子さんなど豪華なキャスト陣を起用。意外なキャスティングだと郷里大輔さんですが、どんな役なのか説明するとネタバレになってしまうので、ぜひプレイして確認してみてほしいです。きっと驚きますよ。 バトルはカイムを操作して剣による斬撃と魔法を駆使して戦う地上モード、上戦でレッドドラゴンを召喚して群がる敵を一掃する低空モード、レッドドラゴンに騎乗してモンスターや帝国軍の戦艦と戦う上空モードがあり、それぞれ違った雰囲気の戦いを楽しむことができました。 独特なのが“ウェポンストーリー”。敵を撃破することで武器のレベルが上がり、その武器の背景となるストーリーを読むことができるというものですが、設定がバラエティーに富んでいてとてもおもしろかったです。このウェポンストーリーは『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズだけでなく、『NieR』シリーズにも取り入れられ、ヨコオタロウ氏の作品ではおなじみとなりました。 『ドラッグ オン ドラグーン』はPS2版でしか遊べませんが、ヨコオ氏の魅力が詰まった作品なので、ぜひプレイしてほしいです。『NieR』シリーズとのつながりもあるので、最近ヨコオ氏のファンになった方もチェックしてみてくださいね。