なぜ昔の日本人のほうが「元気な状態で長生き」だったのか?「狂言師」に長寿が多い「4つの理由」
狂言師が長生きできる「4つの理由」
狂言師たちが長生きできる理由は、日々の生活や舞台で実践している伝統的な身体技法や呼吸法にあります。 狂言は日本の伝統芸能であり、670年にもわたって受け継がれてきた身体の使い方や精神の保ち方が凝縮されています。 これらの技法は、現代人にとっても非常に効果的な健康法として規範となりうるもので、狂言師たちと同じように長生きを実現できると考えています。 なかでも重要視すべきは「呼吸法」です。 酸素を効率的に体内に取り込み、血液の循環を促進することで、健康に重要な要素を活性化させます。 また、深い呼吸は副交感神経を刺激し、リラックス効果を生み出すため、精神の安定にも寄与します。 呼吸法を通じて、狂言師たちは心身のバランスを保ち、健康な状態を維持しているのです。 次に、狂言師たちの独特な動きである「摺り足」も、長生きに大きく寄与しています。 狂言の摺り足は、上半身のブレをなくし、床をなでるように足を運ぶ独特な歩行法です。 これにより、膝や腰に負担をかけることなく、体全体のバランスを保ちながら動くことができます。 このような歩行法は、じつは古くから日本人が自然におこなってきた歩き方であり、狂言師たちはこの伝統的な歩行法を現代においても実践しています。 そのおかげで体幹を強化し、身体にあった正しい姿勢を保つことができ、健康寿命を支えているのです。
心身の健康を保つ「狂言師の構え」
さらに、狂言師たちが舞台で取り入れている「構え」にも注目してみましょう。 狂言においては、役者はつねに自分の体の「軸」を意識し「天地人(天と地と人間)」を結びつける感覚を養います。 この「軸」を保つことで、体が歪まず、エネルギーの流れがスムーズになり、全身の調和が取れた状態を維持できます。 この構えは、身体のバランスだけでなく、精神的な集中力や直感力を高める効果もあり、結果的に心身ともに健康な状態を保つことができます。 なお、狂言師たちは日常的に「感謝」の精神を大切にしています。 彼らは舞台に立つ際、つねに感謝の気持ちを持ち、それを演技や所作に反映させます。 この感謝の精神は、心の安定やポジティブな考え方を生み出し、ストレスを軽減する働きを持っています。 現代の科学でも、ポジティブな感情が健康に与える影響が指摘されており、我々、狂言師は感謝を実践することで、健康寿命に寄与していると言えるでしょう。 これらが複合的に作用し、狂言師たちは長生きをし、健康寿命を延ばすことができているのです。 彼らの身体技法や心構えは、現代の日本人にとっても学ぶべき点が多く、取り入れることで健康維持に役立つと考えられます。
茂山 千三郎(狂言師)