火だるま、人間歯車、顔面パックリ…残虐すぎる「ソウ」シリーズ“死のゲーム”10選
低予算ながら世界的に大ヒットを記録した1作目の公開から今年で20周年を迎えるソリッドシチュエーションスリラー「ソウ」シリーズ。連続殺人鬼ジグソウが仕掛ける、被験者の生きる意志や倫理観を試すような恐ろしくも哲学的な“ゲーム”が魅力の一つだが、本稿では「よくもまあそんなことを…」と思わず目を背けたくなるような、残虐かつ奇想天外なゲームやトラップの数々を振り返っていこう。 【写真を見る】目玉吸引、肉削ぎ、血抜きまで…「ソウ」シリーズの閲覧注意な“ゲーム”たち ■生き残るためなら自分の足をノコギリで… Jigsaw(ジグソウ)という名前の通り、なにかとノコギリにまつわるゲームが登場しがちなこのシリーズ。そのなかでもシリーズ屈指の残酷度を誇るのが1作目『ソウ』(04)のメインゲームだろう。 朽ち果てたバスルームの対角線上に鎖でつながれた2人の男ゴードンとアダム。部屋の中央には死体が横たわる皆目見当のつかない状況に混乱する2人だが、医者のゴードンのそばに落ちていたテープを再生すると、「制限時間内にアダムを殺さなければ、妻子が死ぬ」というメッセージが流れ…。 世間を震撼させているジグソウのゲームだと悟り、生き残るべく部屋を調べていく2人は、1発の銃弾やタバコ、着信専用の携帯電話など様々なアイテムを見つけ、ついにノコギリを発見。しかし、鎖を断ち切ろうとするも錆びた刃では歯が立たず、刻一刻と時間だけが過ぎ去っていく。追い詰められたゴードンはついに自分の足を切り、部屋から脱出しようとするのだった。 ■手にはロウソク、体には引火剤…火の元にご用心! カミソリで自らの手首を切った男が、カミソリワイヤーが張り巡らされた部屋からの脱出に挑むなど、プレイヤーがかつて犯した“業”にまつわるゲームを用意するジグソウ。 1作目で放火魔のマークが参加させられたのは、部屋の壁に書かれた数字から金庫の解錠番号を見つけて、体に盛られた毒の解毒剤を手に入れるというゲーム。一見ゆるそうなゲームだが、ロウソクで照らさないと数字が見えないほどの暗い部屋の床一面にはガラスが敷き詰められ、そのうえマークの体は引火性物質を塗られた即死リーチ状態…。結局マークは丸焦げの遺体で発見されることになった。 ■腕、脚、首が180度回っていく恐怖の人間歯車 もっとも残酷なゲームとして悪名高いのが『ソウ3』(06)に登場する“人間歯車”。この作品は自動車事故で幼い息子を失った男ジェフが、死の罠に囚われた事故関係者たちを赦し、命を救えるか?数々の試練に挑んでいく内容だ。 この試練のラストに待ち構えていたのが、全身を大がかりな機械につながれたティモシー。飲酒運転で息子の命を奪った張本人だ。この拷問はゆっくりと回り続ける歯車が、ティモシーの腕、脚、そして首を180度、じわじわとねじり切っていくというもの。歯車を止める方法は、片腕を代償にショットガンの先に吊るされた鍵を取ることのみ。関節が徐々にねじられていくティモシーの悲鳴が響くなか、ジェフが下した決断とは? ■気持ち悪すぎる…嫌悪感No.1の腐“豚汁”責め 余命幾ばくのジグソウを死なせてしまうと、首の周りに取り付けられた爆弾によって自分の顔面も吹き飛ばされるというリン医師に課せられた道連れトラップなど、人間歯車以外にもユニークな拷問が多く、残酷度はシリーズでも群を抜く『ソウ3』。そのなかでも精神的にキツいのが、ティムに軽い刑を宣告したハルディン判事の拷問だ。 底に判事が拘束された大きなタンクに、巨大ミキサーでペースト化された謎の液体が注がれるという拷問で、ミキサーに次々と放り込まれていたのはなんと腐乱した豚の死体。茶色く濁ったとろみのある純度100%の豚ジュースによって判事がいまにも溺れそうになる光景には、ジェフもドン引きだった。 ■協力していれば助かったのに…血液貯蔵ゲーム 一つの部屋に集められた5人の男女が数々のゲームに挑んでいくという内容の『ソウ5』(08)。今作で描かれるゲームは、協力して臨めば全員助かることができるものばかりなのだが、他人を蹴落とすことしか考えてこなかった5人は、自分だけが生き残ろうと他人を犠牲にしていく。 1人、また1人と脱落していくなか、しぶとく生き抜いた2人に待ち受けていたのが、電動ノコギリで手を切り、ビーカーに血液を貯めるという最終試練。しかも必要な量は人間1人分の血液量と言われる5リットル。2人は体の半分の血液を失っても生きていることができるのか…? ■相手より多くの肉を削ぎ落として生き残れ! 協力ゲームの一方で人を競わせることも大好きなジグソウ。『ソウ6』(09)の冒頭、悪徳闇金業者として多くの人々を苦しめたことからゲームのプレイヤーに選ばれた若い女性シモーネと太った男性エディが繰り広げるのが、自分の肉を削ぎ取って秤に乗せ、総量が多かったほうが生き延びるというゲームだ。 豊満ボディを生かし、順調にお腹のぜい肉をナイフで切り取っていくエディに対し、スタイル抜群で余計な肉のないシモーネ。万事休すかと思いきや自分の腕をナイフでギコギコし、しまいには肉切り包丁でズドン。腕一本を捧げたシモーネが劇的逆転勝利を決め、エディは頭にはめられた装置のボルトが締まり、脳天を貫かれる壮絶な最期を遂げた。 ■誰を生かして誰を殺す?人格が試される回転木馬 同じく『ソウ6』から抜群のインパクトを誇っていたゲームが回転木馬。今作ではなにかと理由をつけては保険金の支払いを渋り、多くの命を見殺しにしてきた悪徳生命保険会社の重役ウィリアムが、罠に捕らえられた部下たちの命を自らの手で選別するという試練に挑んでいく。 その1つが6人の部下がつながれた“死のメリーゴーランド”。一丁のショットガンが構えられ、ランダムで止まった部下の命を次々と奪っていく仕組みだが、ウィリアムが自らの手を犠牲にしながらボタンを押せば、6人のうち2人だけ救うことができる。 なんとかして生き延びるため、ウィリアムに自分がいかに有能かを売り込み、同僚のことをけなして落とそうとする6人の男女。人間の嫌な部分が凝縮された地獄の光景を目の当たりにしたウィリアムは誰を救うのか? ■鍵は自分の“目の前”に…恐怖のデスマスク 『ソウ2』(05)の冒頭で目を覚ました密告屋のマイケルに装着されていたのが、前後に大きく開いた鉄仮面の内側に無数のトゲトゲが付いており、制限時間を過ぎたらハエトリ草のように勢いよく閉じるというバネ仕掛けの“死のデスマスク”。 トラバサミとアイアンメイデンを掛け合わせたようなこの機械を外す鍵は、自分の目の中に埋め込まれていたが、目を犠牲にする勇気のなかったマイケルは、マスクによってあっけなく息の根を止められることとなった。 ■ジグソウのお気に入り!顔面パックリ逆トラバサミ シリーズを通してよく出てくるジグソウのお気に入り拷問器具が、このデスマスクとは反対の原理が用いられた逆トラバサミ。制限時間内に鍵を見つけてマスクを外さないと、勢いよくマスクが開き、顎から顔を引き裂くという奇想天外なものだ。 1作目では唯一ゲームを生き残った女性アマンダに仕掛けられたほか、ホフマン刑事には鉄格子でマスクが開かないようにして攻略されるなど、たびたび登場するにもかかわらずなかなかその真価が発揮されなかったが、ついに『ソウ ザ・ファイナル』(10)であるキャラクターの顔面をパックリと引き千切ってみせた。 ■口は災いのもと…生き残りたければお黙り! そんな『ソウ ザ・ファイナル』では、ジグソウのゲームを生き残ったという嘘をつき、本の出版やテレビ出演で金儲けをするボビーとその仲間たちを被験者としたゲームが繰り広げられていく。 なかでも恐ろしかったのが、嘘と知っておきながらも世間にボビーの存在を吹聴した広報担当者のニーナがプレイすることになった“沈黙”ゲーム。胃の中にぶら下げられた鍵を取れば脱出できるが、悲鳴を上げると首の周りに設置された鋭利なパイプが音に反応して前進する仕組みだ。痛みと恐怖に耐えられなかったニーナは悲鳴をこらえられず、永遠に沈黙することになってしまった。 ■番外編…絶対に“助からない”模倣犯が仕掛ける恐怖のゲーム 必ず生き残るチャンスを与えるのがジグソウのやり方だが、模倣犯が用意したゲームにはそんな慈悲は一切なし。『ソウ3』では女性刑事のケリーが、胸郭につながれた装置を外すため硫酸の中に手を突っ込んで鍵を取るが、装置は外れず胸元が引き裂かれることに…。 『ソウ5』では、徐々に体のほうへと下がってくる刃物付きの巨大振り子を止めるためには、罪を犯してきた手の骨を粉々に砕かないといけないというゲームが行われるが、これも真っ赤な嘘。プレイヤーのセスは手を砕かれたうえ、体を真っ二つにされるという悲惨な死を遂げることとなった。 ■最新作『ソウX』でもゲームがてんこ盛り! そして2024年、1作目『ソウ』から続く物語を描く最新作『ソウX』が10月18日(金)より公開される。本作では、脳に腫瘍を抱えるジグソウことジョン・クレイマー(トビン・ベル)が危険な実験的治療を試すためメキシコに足を運ぶもこれが詐欺で、騙されたことを知ったジョンは詐欺師たちに死のゲームを仕掛けていく…というストーリーが繰り広げられる。 目につながれた2本の吸引チューブ、5本の指につながれたワイヤー、頭に突き刺される電極のようなものなど、なにやら残酷なトラップがてんこ盛りとなっているようだ。はたしてどんなゲームが繰り広げられるのか?ぜひ劇場でチェックしてみてほしい! 文/武藤龍太郎