「ソラコム」はグロース出世株候補、海外でも稼ぐIoTプラットフォーム企業 最高値から半値の株価で値頃感
【天野秀夫 中小型厳選株】 東証グロース250指数は5月30日に2020年4月以来4年1カ月ぶりとなる600ポイントを割り込みました。3月の年初来高値からの下落率も25%近くに達しています。3カ月連続の月足陰線を見たこの水準では短期的なリバウンドが生じてもおかしくないタイミングです。 東証グロースの戻りをリードする銘柄として「ソラコム」(147A)がそろそろ買い場探しの局面にあります。東証グロースの時価総額上位ランキングでは13位近辺に位置する時価総額600億円超の規模感を持つ銘柄ですが、その事業内容と業績からは先高観が十分にある銘柄です。 ソラコムはIoT(モノのインターネット)プラットフォームの開発・提供を主力とする企業で、国内では「スマートメーターと自動検針」「サービスロボット」「天気ライブカメラ」「シェアリングモビリティ」「作業者の暑熱リスク管理」、海外では「冷蔵庫の温度管理」「遠隔医療」「バスセキュリティー管理」「スマート養蜂」「ペットのトラッキング」などの分野で同社の技術が採用されています。日本発のグローバルプラットフォーマーを目指し、世界392のキャリア・180カ国・地域とつながるグローバル体制を構築し、前期における海外売上高の比率は、前期比2・2ポイント増の36・4%と海外でも稼ぐ企業としての特徴を持ちます。 また、自動車業界とコンピューティング技術の融合を推進することを目的とした、業界横断的な非営利団体「AECC」に加入し、コネクテッドカー市場における案件獲得のほか、生成AI研究も推進中です。ユニークなところでは、野生動物捕獲用のわなの見回り業務を効率化するための装置を群馬県と実用化に取り組んだ実績を持ち、熊被害対策関連として注目された経緯もあります。通信大手のKDDIを親会社に持ち、セコム、ソニーグループ、日本ガス、日立製作所が大株主となっている異彩の資本構成を持ち、顧客企業に大手企業が多く事業拡大期待が大きい銘柄です。 リカーリング収益(プラットフォーム利用料)による継続収入を支えに業績も好調です。前期は25・9%増収、7・1倍営業増益と事前予想から上振れ着地を果たし、今25年3月期連結業績は、売上高99億1200万円(前期比25%増)、営業利益9億2500万円(同27・2%増)、経常利益9億1300万円(同43%増)、当期利益6億8600万円(同41・3%増)と大幅増収増益を見込み、営業利益は2期連続、経常利益は4期ぶりの最高益更新予想です。