県内唯一の百貨店=岡島の旧店舗 外壁解体工事で見えた昭和の歴史や文化 山梨
今年2月に始まった山梨県内唯一の百貨店=岡島の旧店舗の外壁解体工事のその後をお伝えします。 【写真を見る】県内唯一の百貨店=岡島の旧店舗 外壁解体工事で見えた昭和の歴史や文化 山梨 解体が進むビルの内部で見つかった甲府の歴史を知る手がかりや現在の工事の様子、そして、街の人々の思いとは。 2024年2月27日。 武藤裕美記者: 「今、午前8時半を過ぎたところです。重機によって壁の取り壊しが始まりました」 甲府市にある県内唯一の百貨店岡島の旧本館で外壁の解体がスタートしました。 このビルで営業を始めたのは1938年、昭和13年。 高度成長期やバブル経済… 80年以上にわたり親しまれた建物が甲府の街並みから姿を消していく瞬間です。 工事が進む3月。解体によってある「発見」があったと聞き、特別にビルの内部を案内してもらいました。 武藤記者: 「物が無くなって がらんとしています」 インフォメーションが置かれていた北側の「紅梅口」です。 こちらは、営業当時の面影がいくらか残っていました。 その一方で… 武藤記者: 「あの梁はこれまでに見た記憶がないです」 石のような素材に十字の模様などが記されています。 一級建築士 久保田要さん: 「岡島ならではのモダニズムを表現した一部」 甲府市在住で近現代の建築に詳しい一級建築士の久保田要さんです。 久保田さんは岡島のビルが建てられた昭和初期の日本には石を天井に取り付ける技術がなく、梁は、左官職人がモルタルを石に似せて着色し、模様付けしたものだと推測します。 また、この梁や柱、天井のデザインには当時、欧米で流行していたアール・デコが取り入れられていて、西洋の美と日本の技が融合していると高く評価しました。 久保田さん: 「岡島が百貨店として成長していくのに新しいライフスタイルを提供されてきたということで建築もそんなふうに表現されてきた」 開店当初の華やぎが感じられる一方、こちらの天井には黒い焦げ跡が。 久保田さん: 「甲府空襲の時のもらい火で延焼した。それの痕跡」 太平洋戦争末期の1945年7月に起きた甲府空襲。 アメリカ軍の爆撃で甲府の市街地は一面、焼け野原となり、1127人が命を落としました。