なぜMEGUMIは映画プロデューサーに転身したのか 「スーパー受け身」の仕事に感じた“恐怖”
自身に続く女性プロデューサーの誕生にも期待
インスタグラムドラマを作ることから始め、配信ドラマ、短編映画、テレビドラマと広げ、現在は来春に静岡を舞台にした1970年代の女性の話、再来年にはスペインロケの長編映画を準備している。カンヌで大規模なパーティーを開いたのは、22年に視察を兼ねて訪れた時に、日本映画界の発信力を強くしたい、もっと交流の場を増やさないといけないと思ったのだった。 「当初300~400人くらいを想定していましたが、前日には800人くらいだと分かって、酒は切らしてはいけないと思って、酒の注文を増やしました(笑)。予算オーバーではありましたが、めちゃくちゃ盛り上がっていて、新しいご縁が生まれたり、やってよかった。私はこれまで友達の誕生会から物を売るためのイベントなどパーティーを主催した経験があって、こういうものを企画するのが好きなんです。来年以降、カンヌだけではなく、ほかの映画祭でも続けられたらと思っています」 思いついたら、すぐに実行が信条。そのバイタリティーは持って生まれた性格だという。 「小学校の頃から週6日習い事をやっていました。自分でやりたいことを見つけて、親に『そろばんをやりたい』と言って、案内書を持ってきたり、水泳やって、バトントワリングをやって、と……。親はよく習い事に行かせてくれた、と思っています。そもそも、そういうタイプだったので、ちょっと変わっているんでしょうね」 カンヌでのパーティーでは英語力のなさを実感し、週2回オンラインで英会話も受講している。 プロデューサー能力は、俳優に限らず、全てのジャンルにおいて必要なスキルになっているとも語る。 「SNS時代になって、経営者の方も一般に人にも課せられたものだと思っています。プロデューサーは客観的な目線を持って、自分を見せたり、守っていくものだと思います。それがなくて、ケガをしてしまっている人が多いように感じます。私の場合は、(俳優・モデルの)モニカ・ベルッチさんと(建築家の)安藤忠雄さんがヒーロー。この2人を軸に、物事を考えています。2人だったら、こんなことは、やらないだろうなとか、これはやりそうだなと発想しているんです」 俳優がプロデューサーを兼ねるメリットについては、こう考えている。 「俳優は表に出ている分、映画の資金集めの時も信頼していただけたり、私自身、俳優をやっているからこそ気づける点も多い。プロデューサーをやることは、俳優としても返ってくる。何回も台本直しをやったり、スタッフさんの支えが大事だとも分かり、俳優としてのあり方にも変化がありました。物理的には大変ですが、やりがいも大きいので、そこはブレずにチャレンジしていきたい」 最近では、真田広之が主演・プロデュースを兼ねた『SHOGUN 将軍』がエミー賞で最多18部門を受賞したことも大きな勇気をもらった。 「真田さんとは昔、共演させていただきましたが、とんでもないホームランを打ってくださったのはうれしかったです。真田さんはアメリカに渡って、60歳を超えて、何十年の思いを実現させ、その頑張りと結果を見せて頂きました。プロデューサーをやっている俳優の子たちも、『真田さん、マジでかっこいい』と言っています。私はせっかちなので、アメリカでじっくりではなく、ヨーロッパの方でやっていきたいと思っています」とMEGUMI。自身に続く女性プロデューサーの誕生にも期待している。 □MEGUMI(めぐみ)1981年9月25日生まれ、岡山県出身。俳優として第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。近年は映像の企画、プロデュースを行なっている。プロデューサー作にドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』(22年/テレビ東京)、ドラマ『くすぶり女とすん止め女』(23年/テレビ東京)、映画『零落』(23年/竹中直人監督)、ショートムービー「LAYES」(22年/内山拓也監督)などがある。23年より、BABEL LABELにプロデューサーとして所属。
平辻哲也