女性で初めて暴力団員と認定…刑務所生活終えた人等に手を差し伸べる「元・ヤクザの女」消せない過去と充実する今
もう「5回目」は絶対にない。支えてくれる人の存在が、山本さんにそう誓わせています。
■「元ヤクザ」の過去を持つ女性 過ちの代償を知ってから“支える側”へ
NPO法人「五仁會(ごじんかい)」岐阜支局長の西村まこさん(57)は、社会復帰した出所者の生活を支援をしている。
主に西村さんが、出所した人からの相談を受け、NPOのメンバーが管理しているビルの部屋をあてがったり、メンバーの1人が束ねる解体工の仕事を紹介する。「住むところ」「働くところ」といった、出所者が困ることが多い『生きていくための環境づくり』を手助けしている。
西村さん自身にも、消せない過去はある。女性で初めて、国から暴力団員と認定された「元ヤクザ」だ。腕にびっしり彫られた「和彫り」が、その過去を物語っている。
西村まこさん: 「盃を貰ったのは二十歳ですね。10代終わりころくらいに、『女でもいいんでヤクザやらないか』と2回声をかけられたんですよ。(当時女性は珍しかった?)いたとは思うんですけど、盃もらったりとか、そういう人は聞いたことないです」
西村さんは、暴力団に入って22歳の時、傷害事件を起こして1年の有罪判決を受けた。執行猶予はついたものの、そのさなかに覚醒剤所持で逮捕され、2年半を刑務所で過ごした。
30歳の頃に暴力団を抜け、結婚と出産を経験した。“人並みに生きる”ことを決め、介護や医療事務などの資格も取得し働こうとしたが、すぐに「過ち」の代償を痛感したという。
西村まこさん: 「医療事務は通ってとったんですけど、結局制服じゃないですか。面接に行くと、まず最初に健康診断があるんですよ。その時に『すみません、入れ墨入っています』っていうと、断られるんですよね。真面目に一生懸命やれば、入れ墨があっても認めてもらって、正社員にしてもらえると思ったんですけど、結局その前に見つかっちゃって、クビですね」
■感謝の言葉『ありがとう』が更生の励みになる
西村さんは、元暴力団員で前科持ちだということで、社会には容易に受け入れられないことを身をもって知った。それからは、刑務所からの出所者や暴力団を抜けた人に、自身の過去を重ね、手を差し伸べている。 ある日、西村さんらが支援する人たちが20人ほど集まり、名鉄岐阜駅周辺や柳ケ瀬商店街で約2時間、ゴミ拾いをした。覚醒剤で4度の刑務所生活を経験した山本さんも、西村さんのNPOに解体工の仕事を紹介してもらったといい、ゴミ拾いにも初めて参加した。