V長崎、J1昇格プレーオフを終えて 下平体制2年目へ…戦力上積みで自動昇格を 予想外の点差に落胆
サッカーJ2のリーグ3~6位で争ったJ1昇格プレーオフ(PO)は7日、5位岡山の初昇格で幕を閉じた。V・ファーレン長崎は、3位で得たホームアドバンテージを生かせず、6位仙台をピーススタジアムに迎えた準決勝で1-4と完敗。目指してきた2度目の「最高の舞台」にはたどり着けなかった。 ◆封じられた強み 1-4。ショッキングなスコアだった。下平隆宏監督は「このような結果で敗戦するとは…」と落胆し、仙台の森山佳郎監督は「4点も入るというのは1%も思っていなかった」と驚いた。両監督にとって予想外の点差だった。 仙台はV長崎の強みを封じ、球際の強さで優位に立ってプラン通りに試合を進めた。 試合3日前のオンライン記者会見。森山監督は「V長崎は秋野選手や田中選手に配球力があり、ビルドアップがスムーズ。前線の選手が全員強力で、単独では止められない怖さがある」と警戒していた。仙台はスペースを与えないコンパクトな守備を敷くことで、V長崎の特長を消した。 V長崎はDFラインで横パスを繰り返す場面が目立った。効果的な縦パスを通せず、リーグ戦で圧倒的な存在感を放っていたマテウス・ジェズスや、得点感覚に優れたエジガルジュニオが前を向いてボールを持てない。リーグ戦でクラブ史上最多の総得点74をたたき出した自慢の攻撃は影を潜めた。前半から何度か好機は迎えたが生かせず、3点のビハインドを負ってから1点を返すのが精いっぱいだった。 ◆補強ポイントは 結果的に、PO決勝に進んだのはリーグ戦5位の岡山と6位仙台。V長崎と4位山形はホーム開催で、引き分けでも勝ち上がれる優位な条件を生かせなかった。POの一発勝負の怖さを改めて痛感させられた。 “下克上”がPOの醍醐味(だいごみ)であることは分かっている。ただ、負け惜しみになるが、リーグの勝ち点でV長崎より10も少なかった岡山の昇格を見送るのは残念だ。この悔しさを味わわないでいいように、やはり、自動昇格(2枠)を勝ち取らなければいけない。 PO準決勝から3日後の今月4日、選手、スタッフの中でいち早く下平監督の続投が発表された。前監督の二重契約問題で緊急登板となった今季とは違い、来季のチーム編成は「下平カラー」がより濃く出る。今月上旬の取材では、下平監督は「既存の選手が結構残ると聞いている。今の段階では(他チームに)オファーで持っていかれる感じもない」と語った。選手の大幅な入れ替えはないと予想されるだけに、今季の戦力をベースに即戦力を獲得していくと考えられる。 クラブが補強ポイントに挙げるのは守備。「1試合平均1失点以下」を目標に掲げた今季は38試合で39点を失い、達成できなかった。PO準決勝で4失点するなど、重要な試合でほころびも見せた。スタイルが違うとはいえ、POを勝ち抜いた岡山はリーグで2番目に少ない29失点の堅守が武器だった。 今季は前線の外国人選手4人だけで計55得点。他チームがうらやむ攻撃陣だったが、PO準決勝のように、そこが封じられたときに打開する引き出しが少なかった。外国人選手に頼り過ぎないチームづくりも必要になってくるだろう。 既にサイドアタッカーの青木俊輔(法大4年)、トップ下を主戦場とする松本天夢(新潟医療福祉大4年)の加入が決まっている。下平体制2年目。上積みと結果が問われる勝負の1年となる。