「攻撃型ドローンの輸入中止を」 国際航空宇宙展で市民が抗議デモ
10月16日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「2024国際航空宇宙展」が始まり、イスラエルの軍需企業やパレスチナでの虐殺に武器を供給している欧米の加害企業の出展に反対する市民が初日に大規模な抗議行動を展開した。 同展は日本航空宇宙工業会の主催で、最近では2016年、18年にも開催されている。24年の展示には、23の国・地域から600を超える航空宇宙関連の企業が出展。日本政府の内閣府宇宙開発戦略推進事務局、外務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、防衛省などが後援している。 抗議をしたのは、武器取引反対ネットワーク「NAJAT」などでつくる市民グループ「国際航空宇宙展を虐殺兵器展にするな!キャンペーン」。今回の展示に関して、「二重の問題点がある」と指摘。①22年12月の安保三文書の閣議決定によって、軍事費をGDP比で2%にし、防衛費を5年間で43兆円まで膨らませていくという中で、国内外の軍需企業が群がるように武器を売り込んできている。本展が武器を売り込む一つの場所として機能している、②4万人以上が犠牲になっているイスラエルによるガザおよびヨルダン川西岸の大虐殺が進行している中で、本展にはイスラエル最大の軍需企業、エルビット・システムズが出展。さらにイスラエルの国際人道法違反に加担していると名前を挙げられたアメリカのロッキード・マーチンなどの巨大軍需企業も出展している点を挙げた。
政府は後援をとりやめろ
キャンペーンではこれまでも日本航空宇宙工業会に対する抗議行動を実施し、9月から始めた虐殺加担企業の出展の禁止などを求めるオンライン署名では5000人を超える署名が集まっていた。 今回の抗議行動には約130人が参加。「国際航空宇宙展を虐殺兵器展にするな」「攻撃型ドローンの輸入を中止せよ」といった横断幕を掲げた人や、「死の商人国家イスラエルから武器を買うな!売るな!」「宇宙の話だけしよう」などのプラカードを掲げた人たちが会場入口近くに集まり、午前11時過ぎから始まった。 最初に「NAJAT」代表の杉原浩司さんがスピーチし、「航空宇宙という名前は、夢とロマンにあふれている感じがするが、とりわけ海外企業のブースに行くと、そこにあるのは武器だ。人を殺し、傷つける、そういう武器が堂々と展示されている」と指摘。 「1年以上もガザや西岸で、イスラエルによる虐殺、ジェノサイドが続いている中で、アメリカのロッキード・マーチン、ボーイング、ジェネラル・ダイナミクス、イギリスのBAEシステムズ、そういう巨大な軍需企業が、今もイスラエルに武器を輸出している。パレスチナの人々を生きたまま焼き殺すために使われる武器を造って儲けている、そんな死の商人が堂々と政府の後援を受けて、ここにブースを出している」。続けて政府と主催者に対し「日本政府は後援を直ちにとりやめろ。主催者である日本航空宇宙工業会は、私たちの要請にも署名の提出にも一切応じず、私たちを追い払った。市民の声を受け止める気もなく、死の商人の儲けに協力するような業界団体は必要ない。エルビット・システムズなどのブースの撤去を強く求める」と訴えた。 続いて参加者たちは、出展企業の爆弾や武器によって殺されているパレスチナの人々に思いをはせて、強い抗議の意志を表すために、地面に横たわる「ダイ・イン」を一斉に行なった。ダイ・インの間、杉原さんは「日本政府は、停戦のためにイスラエルを制裁すべきなのに、何ら制裁をせず、逆にイスラエル製の攻撃型ドローンを輸入しようとしている」と政府の姿勢を厳しく批判した。 その後、参加者全員で「虐殺やめろ」「死の商人は恥を知れ」「航空宇宙でごまかすな」などのコールを何度も繰り返した。来場者へのチラシ配布や、パレスチナの市民団体からの連帯メッセージの紹介も含めて、抗議行動は2時間以上続けられた。
竪場勝司・ライター