京都好きなら一度は泊まりたい唯一無二のヘリテージホテル。大人だからこそ楽しめる仕掛けとは?
コロナ渦中の2020年にオープンした京都東山のラグジュアリーホテル、「ザ・ホテル青龍 京都清水」。昭和8年に建てられた元清水小学校を保存・活用して造られた京都随一のヘリテージ(遺産)ホテルは、3年目を迎えてますますその存在感を増しているのでした。 モテる宿にはワケがある
子供たちが通った学舎としての面影が残る佇まいは唯一無二
世にラグジュアリーホテルは数あれど、「ザ・ホテル青龍 京都清水」ほど個性的なホテルはそうありません。コロナ禍を経たこの秋、ようやく伺うことができて改めてその思いを強くしました。 昭和8年に建てられた小学校校舎を保存、活用して作られた館内には、子供たちが通った学舎としての面影が随所に色濃く感じられます。そのノスタルジックな佇まいは、間違いなく唯一無二のもの。 すぐれた機能や最新のデザインなら予算が許せばいくらでも新たに手に入りますが、歴史はそうはいきません。だからこそ、このホテルが持つ価値は贅沢でかけがえのないもの。違いのわかる旅慣れた大人にこそ味わってほしい。というわけでホテルの魅力に迫ってみました。
館内に入れば、レトロな柄の絨毯が敷かれた木張りの廊下やモザイク模様のタイル貼りの階段、重厚な梁や腰板張りなど、まさにヘリテージ(遺産)と呼ぶにふさわしい遺構をいくらでも目にすることができます。 でも、それが単なる博物館の陳列とは違って、得も言われぬストーリー性を持って迫って来る。それは過去の遺構を最新のラグジュアリーホテルのデザインの中にうまく組み込んで、過去と現代が調和する独自の世界観を作り出しているから。 ゆえにこのホテルは全体として「古いのに新しい」という不思議な印象もたらします。その感覚は他では味わったことのないものでした。
京都という街の魅力をドラマティックな空間づくりで演出
一方で「ザ・ホテル青龍 京都清水」は、千年の都と称される京都の、なかでも東山という観光名所にあることを最大の地の利として生かしています。 ポイントは東山のシンボルである法観寺・八坂の塔。500年以上前に再建された美しい塔は京都好きにとって欠かせないモニュメントですが、ホテルではその姿を実にうまく取り込むことに成功しています。 「パノラミックスイート」など一部の部屋からは塔を主役にした京の街の風景が望めるほか、宿泊客専用のゲストラウンジでも、塔に向かって開けた全面のガラス壁から、四季を通じてそのドラマティックな姿を拝むことができます。目の前には桜の木が植えてあり、春には桜越しの塔を眺めることもできるって最高ではないですか。