「寅さんファミリー」が勢ぞろい 公開55周年の記念コンサートを開催
一方、山田監督は前田さんに「1作目のさくらへの君の愛の告白。あのクローズアップはよかったなあ。唾がパッパッって飛んでさあ。あれが、いいんだよ。若かったねえ」と笑いかけ、前田さんは「80歳になりました」と答えた。
また、音楽を担当した指揮者で作曲家の故山本直純さんの長男で作曲家、純ノ介さん(66)も出席した。純ノ介さんは、大学生の頃から直純さんの助手として「男はつらいよ」に関わり、「お帰り 寅さん」の音楽を手掛けた。
純ノ介さんによると直純さんは、山田監督の要望に応えて瞬時に譜面を書き直すなどした。
山田監督は「最初の1音を聴いただけで『男はつらいよ』のテーマ曲だと分かる。こんなことができるのは直純さんだけだと、指揮者の小澤征爾さんが言っていたな」と直純さんをたたえた。
また、この日は倍賞さんの誕生日で、山田監督から倍賞さんに花束が贈られた。
なお、トークショーの司会は、俳優の北山雅康さん(57)と松野太紀さんが担当する予定だったが、松野さんが今月26日、死去したため、北山さんが一人で務めた。
北山さんは、団子店くるまやの店員役として「寅次郎サラダ記念日」以降の作品に出た。
アニメ「金田一少年の事件簿」などの声優で知られる松野さんは山田組の常連でもあり、「お帰り 寅さん」では喫茶店店長役を演じた。
山田監督は「松野くんが急に亡くなってしまった。今日参加できなくて残念に思っているでしょう」と松野さんを悼んだ。(石井健)