「K＆ピエロ」として活動する伊藤誠一さん（左）と惠子さん＝5月、福井県勝山市の南こども園

　福井県勝山市の伊藤誠一さん（72）と惠子さん（69）の元小学校教諭夫婦によるユニット「K＆ピエロ」が、20年以上にわたり絵本の読み聞かせや手品などを披露している。「年寄りの道楽ですよ」と照れ笑いしながらも「子どもたちを楽しませたい」との一心で続けている。市立図書館や市内のこども園などにせっせと出向き、孫のような子どもたちを満開の笑顔にしている。 　「ピエロさんだ」－。5月下旬、同市の南こども園に「K＆ピエロ」が登場すると、園児から喜びの声が上がった。惠子さんは、集まった0～5歳児64人に「覚えているかな」と声をかけながら英語の手遊び歌を流すと、子どもたちは元気に動き出した。「昔は聞いてもらったり見てもらったりしているだけだったけど、今は子どもたちが飽きないよう、動ける曲も用意している」 　誠一さんは教諭時代、趣味で始めた手品を児童に披露していた。「社会に貢献できる活動に広げたい」と2002年から市立図書館で月1回のイベントを企画。惠子さんは絵本の読み聞かせを担当することになった。 　2人は定年退職後、市内のこども園での活動も始め、現在は高齢者施設や地域の祭りなどにも出演するように。「喜ぶ姿が見たくて」と誠一さんの手品のレパートリーは200種類超に増え、手作りした道具を使った技も披露する。惠子さんは、誠一さんのギター演奏に合わせ季節の童謡も歌う。 　「20年はあっという間。今でも出演依頼をいただけるのはありがたい」と誠一さん。惠子さんは「子どもに関わることをすることがやりがいなのかも」と誠一さんと顔を見合わせほほ笑む。これからも求められる限り、息の合った活動を続け、子どもたちを笑顔に変える魔法をかけ続ける。