福士誠治、ロバート・ロス役を演じる韓国発三人ミュージカル『ワイルド・グレイ』の魅力を語る
ロスのような“支える”ポジションは好き
――ちなみにこの三人の男たち……ロス、ワイルド、ダグラスの中で、福士さんにロバート・ロス役が来たのは、ご自身では納得ですか? ……かな? 自分はオスカー・ワイルドのような圧倒的なカリスマ性があります!とは言えないし(笑)。ダグラスみたいな情熱的な愛も体現してみたいけれど、まあ、ロスが一番近い気がします。演じる上でもロスのような“支える”というポジションは好きですし、何かを秘めて生きているという役柄は惹かれます。彼のような生き方も、心の中に持っていたい。もちろん、どのキャラクターの要素も少しずつは自分にもあると思いますけれどね。 ――共演は、オスカー・ワイルドに立石俊樹さん、アルフレッド・ダグラスに後藤大さん。 立石さんはまだお会いしていないのですが、背が高くカッコよく、儚さもあり、オスカー・ワイルドにぴったりですよね。後藤さんとはドラマの現場でご一緒しましたが、とてもいい子だったので共演が楽しみです。立石さんと後藤さんは11月にも先に共演しているんですよね、僕は仲間外れ……。まず「ご飯に行こう!」とお誘いし、若者たちの胃袋を掴んでから仲良くなろうと思います(笑)。 ――とてもドラマチックな物語ですが、かなり史実に沿った話なんですね。福士さんは史実ベースの作品に出演される際、色々な資料にあたって挑むタイプですか? それとも現場主義ですか? 歴史を調べて「これは史実とは違う」などはあまりやらないです。基本は台本。その脚本の世界観の中での嘘もありますしね。ただ、今回だと「19世紀のイギリスでの男性同士の恋愛はどのくらいの罪だったのだろう」といったことは調べると思う。最近はありがたくもそういった作品に携わることも多く、彼らの生き辛さなどはきちんと知っておかないといけないと感じますので。それを現代の感覚に寄せるのか、どこまでリアルを追求するかは根本さんの演出に従いつつ、稽古の中でライン引きをしていく必要があると思います。 ――今回の上演はダブルキャスト制ですが、もう一方のチームのことは気になりますか? 正直、まったく気にならないです。稽古も、一緒にやるのか別々なのかまだわかりませんが、別々でやるのなら、根本さんが「お互いに見て」とおっしゃらなければもう一方の稽古を見にいくこともないと思う。演じる人間が違えば、同じ脚本、同じ演出でも、絶対に捉え方は違ってくる。だから気になりません。 ――こういう質問をすると「自分が影響されるのが怖いから見ない」とおっしゃる俳優さんもいますが、福士さんは口ぶりから、本当に「気にならないから見ない」というスタンスが伝わってきました。 アハハ! そう言った方がよかったでしょうか、何も考えてないだけなんですよ(笑)。きっと平間さんたちも素敵なチームになるのだろうなと思っていますので、稽古を見たとしても「すっげえ~」と感動するだけだと思います。