低迷する中国経済は「日本のバブル崩壊後を再現」
現在の中国経済について、ニューズウィーク日本版編集長の長岡義博氏は「中国経済は頻繁に崩壊説が唱えられ、そのたびに持ちこたえてきたが『今回はさすがに厳しい状況』と感じており、もし崩壊となれば世界に与える影響は計り知れない」と懸念を示す。 「単純に言うと、『中国経済が日本化してる』と言っていい。今は『漂流族』という言葉が出てきたが数年前までは『寝そべり族』が流行していた。要するに将来に全く展望が持てないため、最低限の稼ぎだけを得て気ままに暮らす若者だ。若者が全く希望を持てない状況になっている」 さらに、長岡市は中国経済の苦境を「4つの『D』」を用いて解説した。
1つ目は「Debt」=債務の膨張。 「日本は債務が多い国であり、GDP比で約260%。中国は公式には約77%としているが、“地方政府の隠れ債務”があるといわれており、それを足すとおそらく数年後には150%と程度になる見込みだ。そんな表に出てきない債務が経済の足を引っ張っている状況にある」 2つ目は「Demographics」=人口減少。 「1970年代から30年以上続いた一人っ子政策の影響で子どもの数が非常に減っている。日本の特殊出生率は1.26だが中国は1.09。日本の10倍規模、しかも格差がまだ残ってる中国で人口減少が始まったらどれだけのインパクトがあるのかは読みきれない」 3つ目は「Demand」=需要の停滞。 「デフレ状況になって賃金も上がらず、国民の購買力が減っている。それが景気に悪循環をもたらしている」 最後は「De-risking」=外資のリスク回避。 「最初の3つは日本のデフレとも共通する部分だが、こちらは中国独自の現象であり、これがあるからこそ、より深刻だとも言える。中国は改革・解放以降、外資を使って合弁会社を作り、経済を盛り上げてきたという歴史があるが、今は海外の企業が“撤退”とは言わないまでも“様子を見る感じ”になっている。その理由の1つが、習近平政権の締めつけだ。去年、日本の大手製薬会社の社員が逮捕されたて衝撃を受けたが、外国人が安全安心にビジネスができない状況になっている」