那須川天心ボクシング挑戦企画に元WBA世界王者ら最強刺客現る!
今週中には、その挑戦者決定トーナメントへの参加権利を得る8人の合格者に連絡がいくというが、天心を無残なTKOに葬ったフロイド・メイウェザー・ジュニアと同じく体重差を生かして勝つつもりでいた細川氏は、この日、辞退を主催者に申し入れた。 反対していた奥さんの意向に沿ったもの。「子供の教育にもよくない。本当にこれ以上やるなら離婚だとも言われ……断念します。ほとんど練習をしていなかったので動けてもいなかったですしね」。主催者側からは「ボクシングルールに準じたいので体重をできるだけ天心選手に合わせて下さい。63キロまでです」とも言われており、現在、77キロもある細川にとって、63キロまで落とすことも不可能だった。 天心は、体重差のある“元3冠王者”の辞退に安心したのかもしれないが、さらなる刺客が参加を検討していることも明らかになった。 3月6日に減量苦を理由に電撃引退を表明したばかりの前WBOアジアパシフィック、スーパーフェザー級王者、元OPBF東洋太平洋同級王者の仲村正男氏(31)だ。名門、興国高出身で、2006年にプロデビューすると12試合連続KOで、OPBF東洋太平洋王者となり、2016年に一度引退したが、昨年、2年ぶりに現役復帰。12月にはWBOアジアタイトルを獲得していた。プロ戦績は28戦25勝(24KO)3敗でKO率86%を誇る超ハードパンチャー。オーソドックススタイルだが、右ストレート、アッパーなどが武器で、トップランクと契約を結んだばかりのWBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪には2017年に判定負けしているが、2015年8月には、WBA世界同級スーパー王者の内山高志に挑戦してダウンシーンを演出した金子大樹に判定で勝つなど世界挑戦一歩手前までいった天心を倒す可能性が最も高い男である 58.9キロがリミットのスーパーフェザー級では減量が苦しくコンディションを保てず引退を決断したが、天心側が譲歩する63キロでOKならウェイト面での不安はない。天心戦のルールは、まだ発表されておらず、使用グローブのオンス数や判定ありなのか、KOのみなのか、によっても勝敗予想は変わってくる。実績と経験ではテーパリットだが、天心のスピードには翻弄されるだろう。天心を凌駕する一発のパンチ力でいえば、仲村。しかもまだ引退したばかりのバリバリ感がある。 繰り返し書くが、ルールも不明瞭で、ボクシングに対するリスペクトのない企画を厚顔無恥に立ち上げるAmebaTVの姿勢にも、この企画自体にも筆者は反対ではある。JBC(日本ボクシングコミッション)のライセンスを持った人間は、JBCルールに抵触するために出場できないし、運営管理も不明瞭でボクシングの発展につながるような企画ではない。だが、もし仲村のような“本物のボクサー”が、何らかのメッセージを持って出てくるようなことにでもなれば興味深い。彼らは挑戦者決定トーナメントで潰し合いをさせられることになるが、ボクシングルール2戦目の天心にとって油断のならない顔ぶれが立ちはだかりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)