スペースジェット、三菱重工が旧三菱航空機の債権放棄 3月末に清算終了へ
三菱重工業(7011)は9月27日、傘下でジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」を開発していた連結子会社のMSJ資産管理(旧三菱航空機)の債権約6400億円を放棄する協定案に同意すると発表した。清算手続きは今年度末の2025年3月末までに終える見込み。 【写真】ファンボロー航空ショー初の飛行展示を披露するANA塗装のMRJ MSJ資産管理の債権者である三菱重工は、協定案に同意することを27日に決定。協定案が10月上旬に開催予定の債権者集会で可決され、地裁に認可されると、三菱重工による貸付金などの債権約6400億円が放棄される見通し。 三菱重工は、MSJの開発中止を2023年2月7日に正式発表。同年4月25日に三菱航空機の社名を「MSJ資産管理株式会社」に変更し、今年7月4日付で東京地裁に対して特別清算開始を申し立てたと発表した。 今年3月末の連結資本合計に対する当該債権の割合は約27%。連結子会社への債権放棄であることから、本件や一連の清算手続きに伴う三菱重工の業績への影響は、個別と連結ともに軽微の見込み。 スペースジェットは、2008年3月27日に持株会社化前の全日本空輸(ANA/NH)から確定15機とオプション(仮発注)10機の最大25機を受注して事業化。2014年8月28日には、日本航空(JAL/JL、9201)から32機すべてを確定で受注した。7日時点の総受注は267機で、このうち確定受注は153機、オプションと購入権は114機だった。 当初の納期は2013年だったが、その後2014年4-6月期、2015年度の半ば以降、2017年4-6月期、2018年中ごろ、2020年半ばと延期を重ね、2020年2月6日には6度目の延期が発表されて2021年度以降としていたが、未完の航空機となった。
Tadayuki YOSHIKAWA