21歳で精神科病棟に隔離、退院後はマッチングアプリで男の家に連泊… オーバードーズとアルコール依存に苦しんだ女性が、社会復帰して思うこと
入退院を10回繰り返している患者も
そうして精神科に入院してから4ヶ月後、今度はアルコール依存症を克服するための病棟に移る。 「当時はガンマGTP(肝機能を表す指標で101以上は要治療と見なされるケースが多い)が680ほどあったものの、断酒剤を飲んで数値を下げてました。抗酒剤とは、少量でもお酒を飲むと心臓がバクバクして泥酔したように気分が悪くなる薬で、強制的にお酒が飲めない状況にしていました」 ほかにも、麗さんをアルコールから遠ざけたのが自助会の存在だった。同じアルコール依存症患者の境遇を聞くことによって、病気への理解が深まり、グループのメンバーからアルコールによる悲惨な経験を聞くことで、お酒を遠ざけようとより危機感が生まれた。 「自助会では、自分より壮絶な経験をしたアルコール依存症の患者とたくさん出会いました。泥酔して嫁と子供に暴力を振るってもお酒を辞められない人、運転中にどうしてもお酒が飲みたくなり結果的に事故を起こした人、アルコール依存症で入院するのが10回目の人、彼氏が暴力団で薬物や風俗を強要させられてそのストレスからアルコールにおぼれた人、肝硬変になってもう先が長くない人など……。 そういった人たちと交流していくうちに、まだ自分はやり直せるという気持ちが芽生え、ちゃんと社会復帰しないといけないと思うようになりました」 アルコール依存症の病棟に入ってから4ヶ月半が経ち、麗さんは退院を決意する。このまま病棟にいるより、社会と接点を持たないといけないと思い、医師の許可をもらって、通院生活に切り替えたのだ。
マッチングアプリで寝床を探す
ほぼ強制的に退院した麗さんだが、入院時に実家も解約されており、定職があるわけでもなかったので、路頭を彷徨うこととなる。そこで友人の家や、インターネットカフェを転々とするなか、マッチングアプリで居候させてくれる人を探すようになる。 「友達の家にお世話になりっぱなしになるのも気が引けるし、漫喫はそれなりにお金がかかるし。それなら身の危険は感じるけど、見ず知らずの男性にお世話になった方が迷惑がかからないかなと思って」 結果的に、マッチングアプリで知り合った男性とは、トントン拍子に話が進んで交際にいたる。そこから同棲生活が始まり、2人での生活が始まった。 とはいえ、実生活を送る上での不安が消えたわけではない。定職もなければ、貯金もすり減っていき、仮にパートナーに捨てられたらと考えると、塞ぎ込みがちになった。そうした不安から、麗さんは再び処方薬のODやアルコールに逃げてしまうようになる。 「このころはパートナーが仕事に行き、日中は1人の時間が多かったこともあり、思い詰めてしまう時間が多かったんです。時間がたくさんあったので、睡眠薬とかADHDの薬をチャンポンして、服用量の10~15倍ぐらい飲んでましたね。 睡眠薬を過剰摂取して丸2日昏睡していたり、あとADHDの薬は血圧を下げる作用があって、ひどい貧血のようになって3~4日間、目眩や耳鳴りで動けなかったり……。正直、もうあんな経験はしたくないですね」
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