角田裕毅のオーストリアGPは「ぶっつけ本番」で比較テスト ホンダも全面サポートでPUデータをアップデート
【2019年に優勝を飾った思い出の地】 RB側のPU責任者であり、ホンダの現場を統括する折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーはこう説明する。 「スプリント週末のFP1では仕様を分けて走りますので、どちらかがよくてどちらかが悪いとなった時は、駄目なほうの仕様をスプリント予選から変更することになります。その場合は、PU側もデータをアップデートしなければなりません。 その時に(仕様が違えばスロットルの)踏み方が違ってきますので、データをどうアジャストしていくのか、そのところを想定してデータを作っていかなければなりません。ドライバーだけでなくデータのほうもぶっつけ本番になりますので、それを見越して準備をしていくことになります」 レッドブルリンクは、ホンダにとって2019年に第4期初優勝を飾った思い出の地。標高700メートルというプチ高地が優位に働いたが、それと同時に暑さも味方した。 今週末も、そんな暑い週末になりそうだ。 「私はあの時SMR(Sakuraミッションルーム)にいましたが、ここに来るとあの時のことを思い出しますし、今週末は暑そうなので、そこもあの時と似ているなと思います。メンバーたちとも『あの時のことを思い出すね』という話をしています。 今週末は当初、雨の予報でしたけど、最新の予報では週末を通して晴れ。30度くらいの気温になっているので、エンジンサプライヤーにとってはけっこう厳しい環境です。FP1の限られた時間のなかで、ボディカウルの冷却設定も見極めなければなりません」(折原ゼネラルマネージャー) 目の前のレースではなくその先を見据えて、あえて暑く慌ただしい週末を戦う。そんなRBとホンダと角田の挑戦を見守りたい。
米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki