尹錫悦政権の「親日的歴史認識」…独立記念館まで占領
ニューライトを人事で重用
親日(日本による植民地時代に日本に加担、追従して恩恵を得た勢力)的な歴史認識で波紋を呼んでいるニューライトで知られる人物らが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の学術・報勲機関の要職に相次いで登用されている。植民地近代化論に立脚した歴史叙述で物議を醸した『反日種族主義』の共同筆者の1人で、東国大名誉教授のキム・ナンニョン氏が、先月末に韓国学中央研究院の院長に就任したのに続き、6日には光復会がニューライトと規定したキム・ヒョンソク「大韓民国歴史と未来」理事長が独立記念館の館長に任命された。尹錫悦政権の狭小な人材プールが限界をあらわにしたと評されるとともに、先日の日本の佐渡鉱山のユネスコ世界文化遺産への登録過程で示された政権の「対日観」がありのままに反映された人事だと指摘されている。 最近の「親日人事登用」問題の中心には、新たに独立記念館の館長に任命されたキム・ヒョンソク氏がいる。先日、独立記念館長候補の公募で独立運動家の子孫は落とされ、親日的な人物が複数推薦されたと主張した光復会のイ・ジョンチャン会長は、7日のラジオインタビューで、「人事がこのようなやり方で進められるのは、龍山(ヨンサン)のどこかに日帝時代の密偵のような存在の影があるのではないか」と述べ、大統領室を真正面から批判した。共に民主党のカン・ユジョン院内報道担当はブリーフィングで、キム館長の任命について「独立記念館の設立目的と存在理由を正面から否定する行為」だと述べ、任命の撤回を求めた。 光復会は理事・支部長緊急連席会議を開き、「(独立運動家の)子孫の意見を取りまとめ、様々な方法で歴史正義が確立されるまで強く対応」することで合意した。民族問題研究所は、今月10日に忠清南道天安(チョナン)の独立記念館でキム館長の任命を糾弾する集会を行うことを決めた。 独立運動関連団体がキム館長の任命に激しく反発するのは、同氏のことを「日帝強占期は韓国の近代化に役立った」との趣旨の主張を展開するニューライト系の人物だとみなしているからだ。キム館長は著書『終わるべき歴史戦争』で、「(親日清算作業は)『歴史的功罪』を問うことなく、『親日行為』と『反民族行為』を同一視する愚を犯した」との主張を展開している。 大統領室は、光復会などが問題視する最近の人事は「歴史認識」とは何の関係もないとの立場だ。大統領室の高位関係者はこの日、キム・ヒョンソク館長をめぐる批判について「独立記念館の理事会で構成された役員推薦委員会が最も推した候補者を任命しただけ」だとし、「尹大統領はキム館長を個人的に知らない」と述べた。光復会の任命撤回要求に対しては、「言及すべきことはない」と一蹴した。国家報勲部の関係者は、「キム館長は研究結果を見てもそうだし、ニューライトとはかけ離れている」と述べた。 しかし光復会などは、キム館長の起用は尹錫悦大統領がこれまで示してきた対日認識と無関係ではないと考えている。就任後、尹大統領は日本を「共同の利益を追求するパートナー」と規定しつつ、植民地支配などの歴史に対する反省要求は控え、「未来」ばかりを一貫して強調してきたという印象が強いからだ。 政府機関の随所に類似の対日観を持つ人物が多数起用されているのも、このような疑いを強める要因だ。実際にキム・ヨンホ統一部長官は、かつてニューライト学者たちのシンクタンク「ニューライトシンクネット」の運営委員長を務めた履歴がある。国家教育委員会のイ・ベヨン委員長、「真実・和解のための過去事整理委員会」のキム・グァンドン委員長も代表的なニューライト系の人物だ。今年2月に任命された独立記念館のパク・イテク理事は過去に、「植民地近代化論の産室」といわれる落星台経済研究所の所長を務めている。 イ・スンジュン、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )