阪神のFA糸井獲得の光と影。救世主になれるのか?
阪神が、FA権を行使した前オリックスの糸井嘉男外野手(35)と入団合意に達したことを21日、発表した。糸井は、球団を通じて「いろいろ悩んだ結果、新天地阪神タイガースに入団する事を決意いたしました。今までどんな時も暖かく声援くださったオリックスファンの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。その想いも踏まえて、決断に至った中には、野球人として成長するために自分の中で変化というものが必要ではないかと考え、自分を奮いたたせ新しい環境でチャレンジする事により、さらに成長できるのではないかという強い思いと、そして、何より大きかったのは金本監督の熱意に心を打たれたことで、今回、阪神タイガースさんに入団させていただく決断をしました。金本監督を男にできるよう、全力プレーでトップを目指していきますのでよろしくお願い致します」とコメントした。 糸井の阪神移籍は成功するのか。Bクラスに終わった阪神に変革を与える救世主になれるのか? 今季の糸井は6年連続で途絶えた打率3割を復活させ、打率.306、17本塁打、79得点、70打点の数字を残し53盗塁で史上最年長タイトルも獲得した。35歳だが、鍛えあげられた肉体に衰えはみられず、オリックスの本拠地、京セラドームの人工芝から、甲子園の天然芝に変わることは、膝、腰に爆弾を抱える糸井にとって年間を通じてコンディションを維持するために大きなプラスだという。 元阪神のチーフスコアラーで、現在、岡山商科大の特別コーチを務める三宅博さんは「糸井が入るのと入らないでは大きな違いでしょう。彼は阪神になかった機動力、守備力、打率3割をキープする安定したバッティングの打・守・走・強肩の4拍子の揃った選手。初球から積極的に打つという意外性があり、ストレートを待っていて変化球にもしっかりと対応ができる。おそらく甲子園で本塁打は減るでしょうが、左投手も苦にせず出塁率が高い。選球眼もいい。プロらしさを持った選手だから若手への影響もあるでしょう」と、糸井効果に期待を寄せる。 今季の糸井の出塁率.398は、阪神の中で今季トップだった福留の.392を抜く数字。今季は不振に沈んだ鳥谷も来季は奮起して、また得意の出塁率をアップさせるだろうから、塁に出る打者が打線に2人並ぶことは、“つなぎ”という点で相乗効果を生むことは間違いない。 金本監督は、1番・北條、2番・糸井の構想を抱く。2番に左打者の糸井が入るとバントだけでなく、強攻、エンドランと、作戦の選択肢が広がる。 だが、糸井には初のセ・リーグ移籍に不安材料もある。